みずほフィナンシャルグループ(FG)が背水の陣でシステム統合に臨む。

 大規模障害を招いた直接の原因は、システム部門の不手際だった。システム全体の仕様や機能をつかみきれず、障害後には運用ミスを重ねた。だが根本的な原因は、経営陣のITガバナンスの欠如にある。老朽化したシステムの刷新を怠り、障害対応では経営判断が後手に回った。

 そこで、みずほ銀行とみずほコーポレート銀行のシステムを2013年にも統合させ、みずほ信託銀行のシステムの一部も取り込む()。併せてみずほ銀とみずほコーポ銀を合併させる方針だ。

図●みずほのシステム統合イメージと、統合の成功に必要な二つの方策
図●みずほのシステム統合イメージと、統合の成功に必要な二つの方策

 2002年4月のみずほ発足以降、FG傘下の各銀行は勘定系などのシステムをそれぞれ別々に保有してきた。経営体制についても、FGとみずほ銀、みずほコーポ銀のトップを旧第一勧業銀行、旧富士銀行、旧日本興業銀行の出身者が分け合ってきた。これらをシンプルに改め、システム障害の再発を防ぐ狙いだ。

老朽システムを捨て、経営陣が陣頭に立て

 みずほがシステム統合を成功させるには、二つの方策が必要である。一つは大胆な統合計画の策定だ。各銀行の重複業務を統一するのはもちろん、グループ内の業務を抜本的に見直し、全体最適の視点で新システムのあるべき姿を描かなければならない。

 その際は老朽化したシステムを思い切って全面刷新することが肝要だ。本誌が2011年4月28日号「動かないコンピュータ」で指摘したように、20年以上前に構築したシステムを使い続け、刷新を怠ったことが3月のシステム障害の根本的な原因であるからだ。

 全面刷新するとなれば費用はかさみ、リスクも高まる。それでもやり抜かなければシステム統合に臨む意味がない。

 成功に向けたもう一つの方策は経営陣の陣頭指揮だ。経営陣がリーダーシップを発揮し、全行員が一体となって統合を進められるようにする。作業の過程で問題に直面したら、経営陣が率先して的確な判断を下す必要がある。これも本誌が述べたように、3月の障害では経営陣のリーダーシップの欠如が被害を拡大させたからだ。

 これら二つの方策に加えて、システム障害の再発防止策を愚直に実行することも欠かせない。今改めて、みずほ経営陣の覚悟が試される。

 最終回となる次回(第5回)では、経営陣の在り方についてさらに踏み込んだ提言を行う。