インドIT3位のウィプロは、IT人材と顧客が集まっているプネの地の利を生かし、同市の拠点を重点的に強化していく方針だ。巨大な敷地を確保し、オフィスを増やし人員を増強する。ウィプロがプネで拡張中の巨大センターについて、2回にわたって紹介する。

拠点として今後はプネを重視

写真31●プネのセンターを統括するアニル・サマント ゼネラル・マネージャー
写真31●プネのセンターを統括するアニル・サマント ゼネラル・マネージャー

 「プネの拠点は将来、本社のあるバンガロールに次ぐ二番目に大規模なデリバリセンターになる」。プネのセンターを統括するアニル・サマント ゼネラル・マネージャーは断言する(写真31)。

 社員11万8000人、世界54カ国に72拠点を持つウィプロ。本拠地であるインドには、バンガロールやプネ、チェンナイ、ハイデラバード、コルカタなど8カ所のデリバリセンターを持つ。現在、同社で二番目に人員が多く大規模な拠点はチェンナイだが、いずれプネが人員規模で抜く見込みだという。

 プネで重点的に人を増やす背景には、インドのシリコンバレーと言われ国内外の多くのIT企業がこぞって拠点を構えているバンガロールの変化がある。「人材の獲得競争が激化しすぎており、人件費も高騰。良い人材を採用しにくくなっている」(サマント ゼネラル・マネージャー)。採用や社員をつなぎとめるコストが高まっているため、今後はバンガロールの拠点をそれほど大きくはしない方針なのだという。

 そこで目を付けたのがプネ。「東のオックスフォード」と呼ばれるほど教育意識が高く多数の大学が集まっている。「近郊には約350の大学があり、ここからは年間約12万人もの技術者が続々と卒業してくる」(サマント ゼネラル・マネージャー)。さらに同連載の冒頭で紹介したように、金融や製造業が多く進出している地理的なメリットを考慮した。

経済特区内に二つの拠点を建設

 プネの拠点は、街中から車で1時間程度の経済特区「Maharashtra Industrial Development Corporation(MIDC)IT Park」にある。プネ・デベロップメントセンター(PDC)と呼ばれるプネの拠点は、最初にできた「PDC I」と、PDC Iの完成後に拡張するため新たな敷地を獲得して今も建設中の「PDC II」とそれぞれ呼ばれる二カ所を指す(写真32)。

 PDC Iは2001年に稼働を開始。25エーカーの土地に、三つのオフィス棟を持つ。ここから2キロメートル程度離れた場所に、現在も拡張を続けているPDC IIをウィプロは開設した(写真33)。

写真32●ウィプロのプネの拠点「PDC II」
写真32●ウィプロのプネの拠点「PDC II」
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写真33●敷地内で現在も建設が進むオフィス棟
写真33●敷地内で現在も建設が進むオフィス棟
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