文章を作成する際に欠かせないのが句点「。」と読点「、」です。改めてそれらの使い方を振り返ってみると、意外と感覚的に使ってしまっていることに気づきます。下記文章中の何が問題でしょうか。

どこが問題?

  1. 当社では社員が、増え続けており社屋が、手狭になった。
  2. パリ、ロンドン、ミラノに、出張で回ってくる。
  3. 今回の試験には受験資格が設定されている。(45歳以下。)

ここが問題! 句点「。」と読点「、」の打ち方を間違えている

 句点「。」と読点「、」のルールを守らずに、打ち方を間違えているので、読みにくい文章になっています。

これで解決! 句点「。」と読点「、」のルールに従う

 句点「。」と読点「、」は下記のルールを覚えましょう。

 まず、句点「。」ですが、原則としては文の終わりに打ちます。それ以外にもビジネス文書を作成する上では下記の3つのルールを覚えておきましょう。

句点「。」ルール

ルール1 文末に注釈の丸カッコ()を使うときには、丸カッコの後に句点を打つ。

例:簡潔な文章を書くポイントの1つは一文を短くすることである(50文字以内)。

ルール2 筆者名、クレジットなどを丸カッコに入れ文末につけるときには丸カッコの前に句点を打つ。

例:日中韓3カ国首脳が共同会見を3時から行う予定である。(ITpro通信)

ルール3 !や?で終るときは句点を打たない。

例:現状のグローバル化を逃れることができるか?

 次に読点「、」のルールは、以下の6つを覚えましょう。

読点「、」ルール

ルール1 主語の後に打つ。

例:当社は、今期社員増の予定です。
例:私は、彼に感謝した。

ルール2 文と文を分けるところに打つ。

例:佐藤部長は今月分の売り上げ見込み数字を伝え、木下課長は今月の受注数字を伝えた。

ルール3 並列関係にある語句の後に打つ(ただし、最後の語句の後はなし)。

例:その本は北京、上海、台湾で翻訳されている。

ルール4 修飾語がどこにかかるか、わかるところに打つ。

例:1万円の時計のベルトを選んだ。
       ↓
1万円の時計の、ベルトを選んだ。←「1万円の時計」が「ベルト」を修飾
1万円の、時計のベルトを選んだ。←「1万円の」が「ベルト」を修飾

ルール5 接続詞の後に打つ。

例:K社での商談は盛り上がった。しかし、いまだに受注はできていない。

変わった!

  1. 当社では社員が増え続けており、社屋が手狭になった。←読点ルール2
  2. パリ、ロンドン、ミラノに出張で回ってくる。←読点ルール3
  3. 今回の試験には受験資格が設定されている(45歳以下)。←句点ルール1

 句点、読点ともに文を読みやすくすることが第1の目的です。これらをどこに打つかで間違って伝わってしまうこともあります。ルールを踏まえて打つようにしましょう。

安田 正(やすだ ただし)
パンネーションズ・コンサルティング・グループ代表取締役
安田 正(やすだ ただし)
法人向けの研修を企画・実施するパンネーションズ・コンサルティング・グループの代表取締役。ロジカル・ライティング、ロジカル・コミュニケーション、交渉などの領域で、自ら講師としても活躍。2008年より早稲田大学理工学術院非常勤講師。著書に「誰でも論理的に書ける ロジカル・ライティング」、「なるほどナットク!ビジネス文書の達人になるためのQ&A41」など。

■変更履歴
『←「1万円の」が「時計」を修飾』としていましたが,正しくは『←「1万円の」が「ベルト」を修飾』です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2011/06/02 12:30]