IT業界でプロとして活躍するには何が必要か。ダメな“システム屋”にならないためにはどうするべきか。“システム屋”歴30年を自任する筆者が経験者の立場から、ダメな“システム屋”の行動様式を辛口で指摘しつつ、そこからの脱却法を分かりやすく解説する。(毎週月曜日更新、編集:日経情報ストラテジー

ITベンダー社内にて「計画停電」に関する会話
ダメな“システム屋”の会話

 (2011年3月、東日本大震災直後の関東地区でのこと)

ダメな“システム屋”A 「今日の午後は計画停電だってな。どうする?」
ダメな“システム屋”B 「部屋は明るいけど、パソコンが使えないからなあ」
ダメA 「まさか、今さら紙と鉛筆で仕事するというわけにもいかないし」
ダメB 「そうだよな。報告書やプレゼンテーション資料もほとんどコピペ(コピー・アンド・ペースト)で作っているから。鉛筆ではコピペできないもんな」
ダメA 「そうそう。何かを調べる時もまず『検索』だし。そしてコピペ」
ダメB 「やっぱり業務継続は無理じゃないかな」
ダメA 「早退するつもり?」
ダメB 「ここは、早退でしょう」
ダメA 「でも早退して何するの?」
ダメB 「パチンコとか」
ダメA 「そうか。でもパチンコ屋は停電しないの?」
ダメB 「うーんそうだな。パチンコ屋は自家発電で営業していないものかな?」
通りすがりの上司 「こら、お前ら!横でこっそり聞いていたけど、いつも報告書はコピペなのか?」
ダメA&B 「え、いや、あの、その・・・(バレたか!)」

ダメな理由:仕事は全てコピペと検索

 前回(第37回=節電以前の問題)に続いて、今回も東日本大震災後の電力不足の話です。東日本大震災発生の直後、東京電力管内で何度か「計画停電」が実施されました。職場が被災していなくても、普段通りパソコンに向かって仕事できないケースがあったかもしれません。

 パソコンを使えない時間帯の過ごし方は様々だったでしょう。今回は「紙と鉛筆を見直そう」という提言をしたいと思います。

 昔話になりますが、私が若い頃は、コンピュータといえば「大型汎用機」でした。ソースコードを「コーディングシート」という紙に鉛筆で書き込み、これをパンチ専門会社で一定の規則で穴を空けたカードにしてもらい、これをカードリーダーから大型機に読み込ませていました。コンピュータを扱う“システム屋”の仕事自体、「紙と鉛筆」を使うのが基本だったのです。

 それが最初に大きく変わったのは「TSS(タイム・シェアリング・システム)」が普及した時のことでした。端末機から大型汎用機に直接接続して、プログラムやジョブ制御言語を作ったり修正したりできるようになったのです。

 TSSは“システム屋”の仕事を変えました。1日中、端末機の前に座っている“システム屋”が急増し、紙と鉛筆はあまり使われなくなったのです。当時は「1人1台」というわけにはいかず、端末機の台数は常に“システム屋”の人数より少なかったので、端末機の取り合いが起きたりもしました。