日立製作所が2010年12月末に買収した米シエラ・アトランティックのインド拠点は、米インテリグループやキーンのオフィスがあるHITECシティとは別の経済特区に存在する(写真9写真10)。

写真9●シエラのハイデラバード拠点
写真9●シエラのハイデラバード拠点
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写真10●シエラのオフィス受付
写真10●シエラのオフィス受付
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 同エリアの特徴は、IT企業だけでなく金融業なども誘致している点。IT企業では米マイクロソフトなどが開発拠点をこのエリアに設けているほか、インドの大手銀行であるICICIが巨大なデータセンターを設置している。企業誘致だけでなく、特区内に住宅や病院なども設置し、職住接近を実現する取り組みが周辺で進んでいる。

日立買収によるシナジー効果を期待

 「シエラの顧客のほとんどが日立製作所による買収を歓迎している。さらなるサービス拡充や成長につながると評価しているからだ」。シエラのフェローゼ・モハメド シニアバイスプレジデントはこう話す。同社の買収主体となった米国日立コンサルティングとシエラのシナジー効果が大きいと強調する(写真11)。

写真11●シエラのフェローゼ・モハメド シニアバイスプレジデント
写真11●シエラのフェローゼ・モハメド シニアバイスプレジデント

 日立コンサルは業務コンサルやシステム構築に強みを持つ。一方でシエラは、システム構築や開発も手がけるものの、本来の強みはオフショアを活用した運用サービスにある。コンサルや構築はプロジェクトベースで売り切り型のビジネス。一方で運用サービスは、顧客と継続的に付き合うことができ、安定収入が見込める。

 実際にシエラが手がけるプロジェクトの8割はリピート案件で、システム構築後も顧客との関係を継続できている。構築プロジェクトに強い日立コンサルと、運用が得意なシエラは、コンサルから運用までを一貫提供できる理想的な組み合わせになる。

 シエラのもう一つの強みは、米オラクル製ERP導入やバージョンアップ、運用サービスだ。オラクルから同社ERPのモジュール開発を請け負っていることもあり、オラクル製品に精通した技術者を多数抱えている。このため、オラクルから顧客を紹介されることもあるという。それだけ技術力や実績を評価されている証拠といえよう。