前回はビジネスモデルの視点から、国内のISP(インターネットサービスプロバイダー)にとっての外部環境の変化、そしてVNE(Virtual Network Enabler)とISPの役割を解説した。今回は、まずNTT東西のフレッツ 光ネクスト(NTT-NGN)を使ったIPv6インターネット接続に関するビジネスモデルを紹介する。さらに、これを実現するための各プレーヤーの役割を技術的な視点を踏まえて解説していく。
IPv6ネイティブ接続を構成する各プレーヤーの役割
まず、ネイティブ方式によるIPv6インターネット接続の全体像を把握するために、同方式のビジネスモデルを構成するプレーヤーを(1)ISP、(2)VNE、(3)NTT東西の3者に分けて考えてみたい。
各プレーヤーの役割分担を整理すると図1に示す通りとなる。エンドユーザーは、インターネット接続事業者としてのISP、およびアクセス網を担当するNTT東西と契約することになる。エンドユーザーは、契約面でVNEとの接点を持つことはない。VNEは、各ISPにIPv6インターネット接続の卸サービスを提供し、他方ではNTT東西と相互接続する。ここで言う卸サービスは、ローミングサービスとも呼ばれている。
(1)ISPの役割
ネイティブ接続において各ISPは、従来のIPv4におけるビジネスモデルと同様に、エンドユーザーがIPv6インターネット接続の料金を支払うための契約窓口や、技術面を含む各種問い合わせの窓口機能を持つ。設備面では、電子メールやWeb、ブログなどのサービスをエンドユーザーに提供するために、サーバーなどを構築・運用する。さらにクラウドなどの新規事業を展開するため、サーバーファーム(例えば、多数のサーバーを置いたデータセンター)などを構築することもある。
各ISPはこれらのサーバーなどをインターネットに接続する際に、VNEにアウトソースしたネットワークに直接接続することになるだろう。これは、サーバーを使って提供する各種サービスの品質を保つために、エンドユーザーが契約しているISPのサーバーと最短距離で接続されることが求められるためである。