NTTぷららは2011年4月20日、映像配信サービス「ひかりTV」の現状と今後の事業展開について説明した。2011年3月末の会員数は当初計画の140万件を上回る141万件となった。2012年3月末には会員数190万件を目指すという。

エリア拡大よりも加入獲得

 2010年度はWOWOWや日本放送協会(NHK)のBSデジタル放送再送信や、地上デジタル放送の再送信エリアの拡大、HDTV化推進などの取り組みを行った結果、2011年3月末の会員数は当初計画の140万件を上回る141万件となった。2012年3月末には会員数190万件を目指すという。東日本大震災やNTT東西のフレッツ光加入者数の伸びが鈍化しているといったマイナス要因の中でも「ひかりTVの普及率は1割程度で、加入者獲得の余地は十分ある。サービス内容や利便性の向上、販売促進策の強化で190万加入を目指す」(NTTぷららの板東浩二 代表取締役社長)と目標達成に自信をのぞかせた。

 板東社長は今後の事業展開として「通販サービスの強化」と「マルチスクリーン展開」「ダビング/マルチルーム機能の提供」「オリジナルチャンネルの刷新」を挙げた。民放BS放送の再送信については、「実施を希望しており、現在各社と交渉中」としながらも、具体的な提供時期は未定と説明した。また、地上デジタル放送再送信は、2011年5月に熊本で提供を開始すると世帯カバー率が70%を超えるという。そのため「今後はエリア拡大よりも加入者獲得に力を入れる」方針である。

ジャパネットたかたがひかりTVと組んだ理由

 通販サービスの強化として、多チャンネルサービスで提供している「ジャパネットチャンネルDX」とひかりTVを連携させた新しいショッピングサービス「ジャパネット楽々リモコンショッピング」を、4月25日から提供する。同サービスでは、ジャパネットチャンネルDXのデータ放送画面で欲しい商品を注文できる。また、ビデオ・オンデマンド(VOD)を利用し、好きな時に商品紹介の動画を見て商品を購入することも可能だ。VODで提供する商品数は、常時約50~80点を予定している。NTTぷららが持つ住所や名前といった利用者情報を、通販サービスを提供するジャパネットたかたに提供するので、利用者は注文時にこうした情報を入力せずに、手軽にショッピングを楽しめるという。

 VODを使った通販サービスは、アクトビラも2011年4月15日に開始している。アクトビラでのサービス展開については「アクトビラは利用者情報を通販事業者に渡せる仕組みになっていない。アクトビラで同様のサービスを提供する予定はない」(ジャパネットたかたの星井龍也 執行役員副社長)と説明した。

各chのマルチスクリーン展開を目指す

 ビデオサービスのマルチスクリーン展開として、ひかりTVで提供しているVODサービスを、各種スマートフォンやタブレット型端末、パソコンなど向けにも提供する。サービス開始時には、ひかりTVのVODサービスで見放題対象となっている作品の中から、モバイル端末配信向けの権利処理が済んだ1000本程度を提供する。テレビ向けサービスでは接続回線をNTT東西のフレッツ光に限定していたが、モバイル端末向けのサービスは回線を限定せず、インターネットに接続していれば利用できるようにする。説明会で公開したデモンストレーションでは、既に米AppleのiPhoneやiPad上でアプリが動作しており「2011年度の第1四半期中にも提供する予定」(板東社長)という。Android向けアプリの開発も進めている。

 マルチスクリーンサービスは、まずひかりTVの付加サービスとして追加料金なしで提供する。その後利用者の反応を見ながら、モバイル向けサービス単体のメニューについても提供を検討する。将来的にはVODだけでなく多チャンネルサービスもマルチスクリーン展開を目指す。さらにタブレット型端末とひかりTVのセット販売といった販売促進策も検討している。

 ダビング/マルチルーム機能では、ハードディスク装置(HDD)内蔵チューナーに録画した番組を、家庭内ネットワークを経由してダビングしたり、DLNAを使って別の部屋から視聴したりできる。2011年6月から提供予定で、「ダビング10」や「コピーワンス」など、家電製品と同様のルールで利用できる。

 現在「ひかりTV STYLE」として提供しているオリジナルチャンネルを、「ひかりTVチャンネル」として一新し、オリジナルの新番組を提供する。チャンネル数は現行の4チャンネルから3チャンネルに削減する。また、スポーツ中継番組の一部については、番組途中でも最初から視聴できる「さいしょから機能」に対応する。