前編では、トンネル方式の特徴と利点を見てきました。後編ではまず、トンネル方式とネイティブ方式の違いを説明します。

 前編で説明した通り、NTT東西が提供するIPv6インターネット接続機能には、これまで述べたトンネル方式の他に、もう一つネイティブ方式があります。このネイティブ方式の「ネイティブ」というのは、トンネルを使わずIPv6インターネットへ接続するという意味です。トンネル方式との違いは、大きく2つあります。

 一つめは、フレッツ 光ネクストのサービスを利用するために、トンネル方式ではアダプタに実装された「NAT66」という仕組みを利用するのに対して、ネイティブ方式ではネイティブ接続事業者のアドレスをそのまま用いる点です。二つめは、トンネル方式がアダプタの設定と動作によって接続を開始するのに対して、ネイティブ方式では利用するにあたりアダプタは不要である一方、NTT東西の提供する網内折返し(注1)を可能とする機能の利用が必要な点です。以下では、アダプタを接続する場合の宅内のネットワーク構成とアダプタの機能について説明しましょう。

注1:NGN内で、一般的なIPネットワークのルーティングによってIPパケットをやり取りする機能

トンネル方式のネットワークはどういう構成になるか

 NGNにアダプタを接続する場合の接続構成は図1の通りとなります。宅内にあるブロードバンドルーターとの接続の順番については、特に配慮する必要はありません。ただし、NTT東西のIP電話サービスである「ひかり電話」に加入しており「ひかり電話ルーター」を利用している場合は、接続する順番に配慮が必要です。これは、ひかり電話の呼制御にSIP(Session Initiation Protocol)を使っているためです。ひかり電話に限らず、端末のインタフェースのIPv6アドレスをアプリケーションが積極的に利用する場合には、接続に注意を要する場合があります。

図1●IPv6トンネル対応アダプタの接続形態<br>上記の6通りが考えられる。
図1●IPv6トンネル対応アダプタの接続形態
上記の6通りが考えられる。
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