電力システムは、発電した電力を実際に伝送するネットワークと、電力伝送に付随するデータの送受信や制御のためのネットワークから成り立つ。これは電話のシステムと比べると分かりやすい。電話のネットワークは、実際の音声を伝送するネットワークと、通話の経路を設定したり呼び出し音を鳴らしたりする制御ネットワークであるシグナリングシステムから成り立っている。電力システムの骨組みは、実際に電気を流す土管とその制御ネットワークから成立していると考えてよい。

今回は、後者のネットワークに関連するオペレーション要素を取り上げる(図1)。オペレーション要素は、電力伝送ではなく、付随する情報やデータに関する機能だ。変化する電力需要を実時間で把握し、それに応じて必要な電力を最適なルートで伝送する役割を担っている。また、電力供給に支障が生じないよう送配電網の健全性を監視する役割も担い、支障が生じた際には自動的に修復するための通知を出したり、それが不可能な場合はオペレーターに連絡したりする機能もある。以下、各コンポーネントについて見ていこう。
配電オペレーション
配電に関する運営に関わる機能である。配電網の健全性の監視と維持(変圧器の電圧、機器の故障と復旧の状況、停電など)、スマートメーターから収集されたデータの解析とそれに基づく各種アプリケーションのサポート、電力需要の予測とそれに対する供給の確保、カスタマ情報の管理などが含まれる。
エンタープライズバス
配電オペレーション内でコンポーネント同士がデータや制御信号を交換するための経路だ。インターネットを介して、その他の要素とも情報、データ、制御信号を交換できるようサポートする。エンタープライズバスは電力システムに限らず広くエンタープライズの分野で使用されている。
資産管理
配電網は、変電所とそこから各消費者に至る配電システムで構成される。資産には変電所内の変圧器やその他の装置の他、配電網内の装置や機器(電柱、変圧器、電線など)が含まれる。こうした資産の情報や状況を把握することが保守や管理には欠かせない。資産を管理するために必要な資産目録情報はデータベースに格納されている。