「IT人材白書2011」では、IT技術者個人のキャリアアップに関する意識についても、様々な角度から調査を実施している。今回は、この調査結果を紹介する。

約4割のIT技術者が「将来自分がどうなるのかが見えない」

 図1は、IT技術者に対して「あなたにとっての“キャリアアップ”とは何ですか」と尋ねた結果である。回答数が最も多かったのは「収入が増えること」(49.2%)。次に「高度な技術やスキルを習得すること」(46.8%)が続く。

図1●IT技術者にとってのキャリアアップとは
図1●IT技術者にとってのキャリアアップとは

 「現在の仕事に関する給与面以外のあなたの悩みや問題点」を聞いた結果が、図2だ。一番多かった回答は「将来自分がどうなるのかが見えない」で39.5%。次が「このままこの仕事を続けていていいのかどうか不安になる」(36.8%)だった。この傾向は、昨年(2009年)の調査とほぼ変わらない。

図2●現在の仕事に関する給与面以外の悩みや問題点
図2●現在の仕事に関する給与面以外の悩みや問題点

 では、IT技術者個人はキャリアアップに向けて、努力をしているのだろうか。

 図3は、IT技術者に「あなたは、キャリアアップのための自分の努力は十分であると思いますか」と聞いた結果である。昨年(2009年)の調査結果と比べると、「十分である」が1.7%から4.0%に増え、「おおむね十分である」は18.5%から31.4%に大幅に増加した。

 それでも、「十分である」と「おおむね十分である」の合計は、4割に満たない。いまだに6割強のIT技術者が、「キャリアアップに向けた十分な努力をしていない」と考えている。

図3●キャリアアップのための努力は十分であると思うか
図3●キャリアアップのための努力は十分であると思うか