最後に、新しい企画やアイデアを盛り込んだアプリに贈られる企画賞の受賞作「scrapRoid」、学生賞の受賞作「meets」、優れたユーザーインタフェースや操作性に焦点を当てた作品に贈られるルック&フィール賞の受賞作「RetroMoviePlayer」、新しい技術に挑戦し使いこなした作品贈られるアーリーアダプター賞の受賞作「taglet」を紹介する。いずれも審査員を驚かせた、才能のひらめきを感じさせるアプリたちだ。また、最終候補に残ったものの、惜しくも受賞を逃した「最終ノミネート作品」も紹介する。

思い立ったら何でもスクラップ、万能型のメモアプリ
<企画賞>scrapRoid 作者:コードヘッド

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 Androidらしい柔軟なアプリ連携の効果をいかんなく発揮するのが、シンプルなマルチメモアプリの「scrapRoid」。ニュースやURL、画像、マップ上の場所、Twitterのつぶやきなどとにかく気になった事柄を、付箋をぺたぺたと貼る感覚で気軽にクリップすることができる。

 上で記したように、scrapRoidは他のアプリと連携する機能を備える。そのため、アプリ本体を起動しなくとも簡単にクリップができてしまう。例えばウェブ上で気になった記事があったとしよう。その際、ブラウザーのメニューから「ページを共有」の項目を表示し、アプリケーション選択画面に遷移すると、そこにscrapRoidが現れる仕組みだ。ここでscrapRoidを選択すれば、自動的に該当ページをクリッピングしてくれる。

 メモを貼り付けるシートは、いくらでも追加が可能。壁紙も豊富に用意されており、ビジュアル面での工夫もなされている。例えばビジネス関連をシンプルなメモ帳の背景、プライベートを鮮やかな青空の背景といった具合に、用途別に使い分ける場合には効果的である。

 貼りつけたメモ要素は、長押しすることで移動が可能となり、シート上の任意の場所に置くことができる。そのほか削除、共有といった機能に加え、XS/S/M/Lの4段階のサイズを選択可能。クリップした内容に大小をつけることで、メモの重要度を図ることができるわけだ。また、シートを長押しするとテキスト入力画面が現れ、テキストメモを直接貼り付けることもできる。テキスト入力画面でともに表示されるマイクマークをタップすると、音声入力も可能。アイディアがひらめいた時のちょっとしたメモに役立つ。

写真●気になる記事を共有。「ページを共有」をタップする
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写真●アプリケーションの選択画面から「scrapRoid」を選ぶ
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写真●記事のURL、画像、Twitterのつぶやき、マップ上のお店、テキストメモを貼りつけたシート。メモ帳に付箋を貼る感覚だ
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 A3の表彰式ではEvernoteを引き合いに出された本アプリ。クラウド対応でない部分はEvernoteとの決定的な違いだが、余分な機能を省き、直感的かつ簡単に利用できる点は優れている。一度はまると抜け出せないライフハックツールになるはずだ。

写真●貼りつけたメモ要素は移動、編集、サイズ変更、共有、削除が可能。シート上で要素を長押しすることでこの画面が現れる
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写真●シートの空いているスペースを長押しすると、テキストメモの入力画面が登場。キーボード入力に加え、マイクを通しての音声入力にも対応する
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写真●背景画像も多数用意されており、着せ替えも可能
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作者に聞く

コードヘッド 代表取締役 高橋輝氏
コードヘッド 代表取締役 高橋輝氏(右)、取締役 森雄大氏(左)
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アプリ開発のきっかけは。

 scrapRoidは「自分が欲しいメモツールを作る」ところからスタートしました。「机の上の大体この辺に置いた」的なズボラな感覚で簡単に使えるメモツールとして企画しました。scrapRoidの様なある意味アバウトなデータ管理方法は、世の中のメインの流れ(タグ付け文化)とは少し外れるのですが、簡単に、面倒なく使えることを重視し、あえて採用しました。

開発にあたって苦心された点は。

 膨らませたアイデアや機能の取捨選択、特に捨てることが大変でした。(それぞれが、みんな良いものに思えてしまって…)。

 プログラムの実装は、今回、余り派手な事はしていないので、比較的すんなり行ったのですが、背景、アイコンデザインなどのフェーズが意外と苦労しました。

ユーザーへのメッセージを。

 アイデアを常に考えている方に最適のツールです。不意に思いつたアイデア(いわゆるフロー状態のアイデア)を忘れないうちにすぐにメモする場面、(地下鉄など電波が入らない場所や、寝起き、移動中など)に最適です。私は、Twitterで気になったツイートを付箋感覚でスクラップしています。ぜひ使ってみてください。

 最後に、iPhoneでは逆立ちしてもできない、Androidならではの「共有(Share)」機能を使っていますので、「使いやすいだろー」って、iPhoneの友達を悔しがらせて下さい(笑)。