米グーグルの「Android」を搭載したスマートフォンやタブレット端末で動作するセキュリティソフトが、続々と発売されている。その背景には、2010年夏以降にAndroidを標的にするワームやトロイの木馬が登場していることがある。
2010年には、勝手にSMS(Short Message Service)を使った有料サービスにメッセージを送るウイルス(関連記事)や、ゲームを装った裏で位置情報を送信するスパイウエア(関連記事)が報告された。2011年に入ってからも、ボットの性質を持つウイルスへの注意喚起が出ており(関連記事)、マルウエアの報告数はパソコンと比べるとまだ少ないものの対策の必要性は高まっている。
搭載する機能は製品によって違う
主にコンシューマを対象にしたAndroid用セキュリティソフトの搭載機能は、大きく(1)紛失・盗難対策、(2)マルウエア対策、(3)ペアレンタル保護やブラウザー保護を含むWebアクセス制御、(4)不要な着信/SMSのブロック、(5)その他---の五つに分類できるだろう(図1)。
(1)の紛失・盗難対策は、紛失や盗難に遭った端末に対し、遠隔からロックしたり中のデータを消去したりする機能である。これらは一般的に、「リモートロック」「リモートワイプ」と呼ばれる。SIMカードを入れかえられた際に端末をロックしたり通知したりする機能も、この機能に分類できる。
(2)のマルウエア対策はパソコンと同様の機能。端末内のアプリケーションやファイルをスキャンしてマルウエアを検出する。
(3)のWebアクセス制御は、URLフィルタリングと考えればよい。悪質なサイトへのアクセス防止やペアレンタルコントロールなど複数の用途がある。
(4)に挙げた通話/SMSのブロックは、不要な通話やSMSを受けないようにするもので、スパムメール対策に比較的近い。(1)~(4)以外のセキュリティ機能を搭載する製品もある。
ちなみに、法人向けとなるとここに「デバイス管理」が入ってくる。一般的にはMDM(Mobile Device Management)と呼ばれ、遠隔からスマートフォンを設定したりアプリケーションのインストールや実行を制御したりできる(関連記事1、関連記事2、関連記事3、関連記事4)。
現在販売しているコンシューマ向けセキュリティソフトは、上記の機能のうち複数をカバーする総合的な製品、マルウエア対策に特化した製品、紛失・盗難対策に特化した製品など、バリエーションが結構ある。価格もまちまちだ(表1)。
次回は、この中から2011年3月25日に発売された米シマンテックの「ノートン モバイル セキュリティ」の使用リポートをお届けする。