今回は東日本大震災への対応を教訓としたBCPの構築・見直しについて解説する。

 BCP(事業継続計画)や事業継続という言葉は、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件を契機として世界的に広まったと言われている。日本国内では2005年以降、内閣府を中心に各種ガイドラインが整備され認知度が高まった。

 なお、事業継続体制を表現する言葉には、他にも「BCM(事業継続管理)」や「BCMS(業継続マネジメントシステム)」などがあり、世間的に使い分けがあいまいになっている。本連載では第1回で説明したように、「地震や水害などの災害や事故などに備え、事業を継続させるために必要な事項を盛り込んだ計画」の意味で「BCP」を用いることとする。用語の統一については国際標準化機構(ISO)による検討を待ちたい。

 今回の東日本大震災は非常に広域に影響が及んだ。その意味では、少々不謹慎な表現になるが、あらゆる組織にBCPの必要性を理解させ、構築・見直しのヒントを与え、より実践的な危機管理態勢を構築する機運を高める効果があった(図1)。

図1●BCP構築の壁と今回の大震災による影響
図1●BCP構築の壁と今回の大震災による影響
出所:アビームコンサルティング
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 とはいえ人間の意識は時間の経過と共に変わっていく。関係者の意識が高く、記憶が鮮明な今のうちに、「生きたBCP」作りを急ぎたい。

 BCP構築の基本については、内閣府、経済産業省、自治体、業界団体などから様々なガイドラインが公表されているので、そちらも参照いただきたい。