セールスフォースと同様にCRMソフトの拡張を狙って、ソーシャルサービスの機能や考え方を取り込んでいるのが日本オラクルだ(図3)。
ただしセールスフォースがSalesforce CRMの機能の一部としてChatterを提供するのに対し、日本オラクルはOracle CRMとは別にOracle Social CRMを販売している。現在のOracle Social CRMは3種類のサービスで構成する。
営業資料を共有する「Oracle Sales Library」やキャンペーン分析の「Oracle Sales Campaigns」のように、業務上の目的を明確にしたサービスを提供することで、「CRMソフトだけでは実現しにくいコミュニケーションを支援する」(日本オラクルCRM On Demand統括本部長の藤本寛執行役員)。Oracle Social CRMは、SaaSのOracle CRM On Demandだけでなく、オンプレミス型のCRMアプリケーションでも連携して利用できる。
日本オラクルは、Oracle Social CRMに新たに4種類を加える計画だ。タイムライン形式で情報を共有できる「Oracle Fusion Active Stream」や、Web上の評判などを分析する「Oracle Social Media Manager」が含まれる。
人間のやり取りまで支援
CRMにとどまらず、ERPやSCM(サプライチェーン管理)のような業務アプリケーション全般を対象にしたのが、SAPジャパンのStreamWorkだ。
StreamWorkではタイムライン形式のUIに、グラフや表計算を張り付けられる。グラフや表計算のデータソースには、同社のERPを中心とした業務アプリケーションで管理しているデータを利用できる(図4)。
「StreamWorkはソーシャルサービス機能を生かして、意思決定のスピードを加速する」とSAPジャパンCo-innovation Lab Tokyoイノベーションデザイン&デベロップメント担当の馬場渉氏は説明する。
同社の業務アプリケーションを利用すれば、意思決定に必要な帳票を作成できる。だが最終的に意思決定を下す「人間同士のコミュニケーションは支援できなかった」(馬場氏)。StreamWorkでは、短文投稿やチャットといった消費者発のソーシャルサービスの機能によって、会議室でやり取りしているかのような場を提供する。
SAPは販売計画の作成や、調達先の変更といった重要な投資案件の決定などで、StreamWorkを活用できるとみている。
販売計画の作成の場合、過去の売上高データをERPから、在庫データをSCMから取得し、グラフとしてStreamWorkに表示する。拠点や部署がバラバラの社員が、グラフを見ながらStreamWork上で意見を出し合い、意思決定を進めていく、といった使い方を想定する。馬場氏は「実際の会議費用も抑えられる」と話す。
価格は1ユーザー当たり月額数千円程度だ(表)。SAPのStreamWorkの場合、ベーシック版は無償で利用できる。