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個人の活動にプロジェクトマネジメント(PM)を適用するパーソナルPMにどう取り組めばよいのでしょうか。パーソナルPMについて研究をしてきたプロフェッショナルによる「一問一答」をお届けします。
初めてパーソナルPMに取り組むのですがアドバイスはありますか。
竹久 当たり前かもしれませんが、目的や目標をまず決めることですね。自分のやりたいテーマやゴール、達成目標を作ってください。それからどうやったらうまく実現できるかを考えてください。それがパーソナルPMの始まりです。
田中 最初から完璧を狙いすぎないことです。思ったようにいかないことも多々ありますので、そのときはタイムリーに振り返りをして、次につなげていくとよいと思います。一番大事なことは継続していこうという本人のやる気です。楽しくやってください。
木野 仕事とか、趣味のものとか、それぞれ種類が違いますので、手法を導入するときに粒度というか、どのあたりまで実際にやるのかは、目標と性質に合わせて決めることになります。
例えば仕事をどこまで細かくWBS(ワーク・ブレイクダウン・ストラクチャー)に分解するのか、といったことです。EVM(アーンド・バリュー・マネジメント)などは慣れてもある程度の手間がかかりますが、必要性が高いものに使えば、負荷を超える効果があります。とにかく目標が達成できるレベルでいいわけです。
本当に細かくきっちりとやることもあれば、大枠だけを決めて頭の中でシミュレーションするだけという場合もあります。人生の中でここは大切だと思うときはきちっとやって、それ以外は緩やかなやり方で、でもどちらもよく似た手順を踏んでいるというように取り組めばよいのではないでしょうか。
中嶋 何から何まで紙に書き出してやるのがよいという方もいらっしゃれば、何も書かなくていいという方もいらっしゃると思います。効果が上がるところについては、自分が心地よいと感じる範囲、自分がちゅうちょしない範囲でここまで活用しよう、と決める。人それぞれにあった均衡点があると思いますから、それを自分なりに見つけて、「これが俺のやり方だ」とするのがよいと思います。
初めて導入されるときには、だまされたと思ってでも、とにかく今回はこれでやろうと決めることです。これは個人も組織も同じです。PMは実証済みの手法です。世界で広がっているのだからやってみよう、と取り組むのがよいと思います。山登りをするのにどのルートで行くのがよいか論争になって、上に登ることよりも論争に勝つことが大事になってしまうことが組織の場合にはしばしばありますが。
-仕事と仕事以外の案件をどう整理すればよいですか。
冨永 私は特に分けていません。ToDoリストにはルーチンワーク以外の組織の仕事、個人の仕事、趣味や家の用事などで、期限を決めてやることは、みんなまぜこぜにして書いています。仕事が重なってくるとToDoリストの8割から9割は仕事になります。組織の仕事を減らして自分だけでやれる仕事を増やしたいものですが、今でもなかなかそこへたどりつけません。どっちにしてもまぜこぜですから、ToDoリストも、日程表も、組織に影響するものには特定の色をつけて、分かるようにしています。
徳永 仕事も趣味も同じToDoリストにまとめています。項目をリストに書くときに、A1、A2、A3が仕事の優先順位、B1、B2が個人の趣味や用事の優先順位、というふうに書いています。これは何かの本で読んだやり方を参考にしたものです。リストは表計算ソフトに入れているので、週末になるとBが付いているものを検索し、Bの順番を見てから、土日を過ごすようにしています。
山田 やり方は人それぞれでよいと思います。私は仕事と個人を完全に分けていまして、手帳も仕事用と個人用をはっきり使い分けています。個人の時間は個人のToDoリストにまとめて個人の手帳に書いています。仕事は会社でしかしません。男性の方は家に帰っても仕事をするのかもしれませんが。ただし、急な臨時処理(災害時などの緊急対応)が発生し休日出勤したときは、個人活動をリスケジュールすることもあります。
中嶋 自分で考えましょう。自分で考え、計画し、実行する。それ自体がパーソナルPMです。
田中 自分にあったやり方をすればよいと思います。私の場合、最初は仕事とそれ以外を分けていましたが、数が多くなってくるとだんだん訳が分からなくなってしまいました。一つにまとめておくことで、優先度や時間配分をまとめて考えられるようになり、残業時間も調整しやすくなりました。