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 個人の活動にプロジェクトマネジメント(PM)を適用するパーソナルPMのフレームワークを前回提示しました。次の6つからなっています。

(1)パーソナルPMの位置づけ認識
(2)段取りのマネジメント
(3)個人のリスクマネジメント
(4)自己の動機づけ
(5)ステークホルダーへの対応
(6)プロフェッショナルコンピテンシー

 今回はそれぞれに関して、パーソナルPMについて研究をしてきたプロフェッショナルによる「一問一答」をお届けします。

(1)パーソナルPMの位置づけ認識

適切なゴールを決めるにはどうすればよいでしょう。また、そこに至る中間目標(マイルストーン)の妥当性を評価する方法はありますか。

冨永 可能性が少しでもあるならば、一番やりたいことを設定したいものです。ゴールとは夢やビジョンのことでもありますから。高いゴールに対し、途中のマイルストーンを設定するわけです。走ってみて途中の状況で修正すればいい。これは個人でも企業でも同じです。

プロジェクトにおいても構想力は非常に大事と思います。PM固有の発想法はありますか。

冨永 ゴールへ向かう「プログラム」の下に、目標をクリアしていく「プロジェクト」を位置付けるという点が挙げられるでしょうか。ただそれほど特別な発想法とも言えません。ブレーンストーミング、各種ダイアグラム、“Osborn’s checklist”のようなチェックリスト、経営向けではバランススコアカード、こういったものを動員します。これらはマネジメント分野に共通する手法です。

(2)段取りのマネジメント

PMにおいては、仕事を分割して進捗を把握していきます。組織なら分かりますが、個人の活動をさらに細かい作業に分けて管理することに意味があるのでしょうか。

冨永 細かく分けるかどうかは、取り組む仕事の大きさによるだろうと思います。もちろん人の好みにもよるでしょう。自分で分かる単位にかみ砕けばよいのです。もちろん何にでもPMを使え、などと申し上げるつもりはありません。

 趣味や生活にまで使わなくてもよいのです。芸術作品を生み出すような仕事は必ずしも細分化できないでしょう。私の場合、個人の仕事にはもちろん使います。趣味の電子工作などでも比較的大きなものにPMを使うと、予定通りにとてもうまく仕上げられます。

田中 細かいかどうかは個人の感覚で異なるので、自分で先が見えコントロールできる大きさに分ければよいと思います。