データセンターは、ネットワークそのものと並ぶ重要なインフラといえよう。それゆえ、データセンターの多くは震度6強以上にも耐えられる建物を使い、サーバーラックも床面に固定するなど、地震に強い構造となっている。大手コンピュータメーカーや通信事業者のデータセンターは、今回の地震による直接的な被害はなく、その後の計画停電に対しても自家発電用の燃料確保に動くなど「影響なし」との立場を示している(関連記事:計画停電のデータセンターへの影響なし、自家発電の燃料確保に動く)。 

 だが、必ずしも安心できるとは限らない。自家発電装置を備えるデータセンターでも、停電が長引くと脆いことがある。

 茨城県にデータセンターを保有するサンファーストは、サーバーそのものの破損はなかったというが、2日以上にわたる停電に苦しんだ。同社はUPS(無停電電源装置)、自家発電装置での電力供給を実施したが、停電の最中、燃料切れで自家発電装置が止まってしまったのだ。結局、サーバーが再び運用を始めたのは、停電が解消された3月13日23時だった。

 茨城県では現在も大きな余震が続いているため、サンファーストはデータセンターの運用委託事業者を通じて、自家発電装置の燃料確保を進めている。今夏に予想される電力不足に対しても、自家発電装置で乗り切りたいとしている。

 被災地では燃料確保が困難な状況も続いた。青森県のシステムインテグレーターであるソリッドシステムソリューションズは3月17日、「当社データセンタでは自家発電機能を備えておりますが、燃料不足の影響から燃料調達に鋭意尽力しております。このまま燃料不足が続き、計画停電実施等により商用電源の供給が停止した場合、一部制限が発生してのサービス提供となる可能性がございます」と発表した(同社のお知らせ:東北地方太平洋沖地震の影響に関して)。

 東日本大震災はデータセンターの災害対策について、大きな課題を浮き彫りにした。

夏場の電力不足はデータセンターに深刻な影響

 大地震で各地の発電所が停止し、今夏あるいは今冬まで電力不足が長期化する可能性がある。火力、水力などの発電所が徐々に復旧してきているが、政府は東北電力、東京電力管内の大口需要家に対し、ピーク時の使用電力の25%削減を求めている。

 ピーク時使用電力の25%カットは3~4月の計画停電よりもデータセンターに深刻な影響を与えそうである。日本データセンター協会(JDCC)事務局の高橋衛氏は「4月12日に経済産業省から使用電力25%カットの要請が来たが、具体的にどうすればいいのか困っている」と頭を抱える。

 ピーク時使用電力を25%カットするという節電方法は、データセンターの運用実態に合わない。これまでデータセンターは「24時間365日で負荷を平準化し、特定の時間帯や曜日に処理負荷のピークを極力作らない」ことでリソースの稼働率を高めてきた。工場やオフィスとは異なり、特定の曜日や特定の時間帯だけ使用電力量を減らすような運用は困難だ。