皆さんこんにちは。ミラクル・リナックスの天野光隆です。日経Linux誌では時々登場させていただいてますが、ITproでの寄稿は初めてになります。ミラクル・リナックスは、LinuxサーバーOSや、デジタルサイネージソリューションの開発、販売を行っている会社で、私は組み込み関連の開発を行っています。

 Androidは携帯電話のOSというイメージがありますが、普通のパソコンでも動作します。以前にも「話題の携帯向けOS「Android」をx86パソコンで動かしてみよう」という記事がITproに掲載されましたが、今回はより新しいバージョンのAndroidを動かしてみましょう。

 「Android 2.3(開発コードネーム:Gingerbread)」は2010年12月に米Googleが正式リリースした、携帯電話向けAndroidの最新版です。前バージョンである「Android 2.2(開発コードネーム:Froyo」ではJIT(Just In Time)コンパイラによるアプリ高速化、Adobe Flash Player 10の対応、テザリングなど様々な機能強化が行われました。Android 2.3ではコンカレントGC(Garbage Collector)によるJavaアプリケーションのレスポンス向上や近距離無線通信NFC(Near Field Communication)のサポートなど、より多くの機能が追加されています。

 x86 CPUの対応は「Android 1.5(開発コードネーム:Cupcake)」にて初めてサポートされ、別プロジェクトである「Android x86」プロジェクトは、ASUS EeePCへのポーティングから始まり、今では多くのPCにで動作するようになりました。お手持ちのPCで動作するかどうかはこちらのページで確認することができます。

 まずは、このAndroid x86プロジェクトの「Froyo-x86」ブランチを使用して、Android 2.2をPCで動かしてみましょう。代表例として、ASUS社のネットブック「EeePC 901X」でAndroid 2.2を動かすことにしましょう。

 現在パソコンに入っているOSやデータを消さないように、USBメモリーにインストールして、そこからブートします。

必要なのはUSBメモリーとパソコン、イメージ・ファイルも提供

 それでは、

(1)512Mバイト以上の容量があるUSBメモリー
(2)Ubuntu 10.04 64bit版がインストールされたパソコン

の2つを用意して下さい。

 Ubuntu 10.04がインストールされたパソコンをお持ちでない方も多いでしょうが、導入は非常に簡単です。今インストールされてWindowsをそのまま残して共存させることもできます。ぜひこの機会にUbuntuをインストールしてみてください。

 環境は用意できないけれども、とにかく今すぐに触ってみたいという方向けには、すぐにUSBメモリーにインストールして使えるイメージ・ファイルを用意しました。本記事の最後で紹介するミラクル・リナックスのサイトからダウンロードできます。

ビルド環境を構築

 準備ができたら作業を始めます。以下の作業はすべてUbuntuの端末(コンソール)上で行います。最初はビルド環境の構築のために必要なパッケージのインストールです。以下のコマンドを実行してください。

$ sudo add-apt-repository "deb http://archive.canonical.com/ lucid partner"
$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get install sun-java6-jdk
$ sudo update-java-alternatives -s java-6-sun 
$ sudo apt-get install git-core gnupg flex bison gperf build-essential zip curl zlib1g-dev gcc-multilib g++-multilib libc6-dev-i386 lib32ncurses5-dev ia32-libs x11proto-core-dev libx11-dev lib32readline5-dev lib32z-dev

 次は、Android専用プロジェクト管理ツール「repo」のインストールです。repoはgit(Linuxカーネルのソースコード管理を目的として開発されたツールです。分散型バージョン管理システム)のラッパーとして動作し、Androidのソース・ツリー群を一括管理できます。

$ cd $HOME
$ mkdir bin
$ curl http://android.git.kernel.org/repo >~/bin/repo
$ chmod a+x ~/bin/repo

 JDK(Javaの開発キット)のインストール場所を示す環境変数「JAVA_HOME」と、先ほどインストールしたrepoへのパスを設定します。

$ export JAVA_HOME=/usr/lib/jvm/java-6-sun
$ export PATH=$PATH:~/bin