東日本大震災では、Android端末やiPhoneなどの「スマートフォン」が圧倒的な存在感を見せた。ITproがこれまでに報じてきた震災関連ニュースをざっと調べてみても、スマートフォンに関連する記事が実に30本近くあり、突出している。

 なぜスマートフォンがこれほどの存在感を示しているのか。その背景にはおそらく二つの要因がある。一つは、大震災に直面し「今、何が起こっているかを知りたい」「場所を問わず、すぐに情報を入手したい」というニーズがかつてなく高まったこと。もう一つは、停電でも、電源のないところでも、スマートフォンならパソコン並みの使い勝手で多様な情報にアクセス可能だったことだ。

震災後、携帯電話販売の5割超がスマートフォンに

 実際に、震災発生後、筆者のまわりでもそうした理由によって「携帯電話からスマートフォンに乗り換えた人」や、「所有する携帯電話に追加する形でスマートフォンを購入した人」が出現している。また、購入には至っていないが、スマートフォンに興味を持ち、使い勝手などを質問してきた人も何人かいた。

 スマートフォンへの関心の高まりは、データからもうかがい知ることができる。それを伝えているのが、「携帯電話販売に占めるスマートフォン比率、初めて5割超に」という記事である。

 この記事によると、4月第1週(3月28日~4月3日)の携帯電話の売り上げに占めるスマートフォンの割合が、調査を始めてから初めて5割を超えたという。半数を超えるユーザーが従来型の携帯電話ではなくスマートフォンの便利さを選んだのである。

震災発生後、短期間で便利なアプリが続々と登場

写真●Android向けアプリ「計画停電情報」
写真●Android向けアプリ「計画停電情報」
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 とりわけ、スマートフォン向けのアプリが大きな関心を集めた。震災発生後、「地震が発生したことをすぐに通知するアプリ」や「計画停電のグループ分け情報を調べるためのアプリ」など、様々なスマートフォン向けアプリが短期間のうちに開発され、その多くが無償で配布されている(写真)。こうしたアプリの存在が、スマートフォンの存在感を高める大きな要因となった。

 具体的に、どんな震災関連アプリが登場したのか、関連記事と共に見ていこう。震災関連アプリは大きく5つのカテゴリに分類できるだろう。(1)安否情報の登録や参照をするためのアプリ、(2)地震が発生したことを速報するアプリ、(3)計画停電の実施状況などを確認できるアプリ、(4)様々な情報を地図上に表示する地図系アプリ、(5)復興支援に役立つ業務系アプリ---である。