写真2●大連ソフトウェアパークの一角
写真2●大連ソフトウェアパークの一角
ここに日本ベンダーのBPOセンターが集中する。
写真3●中国大手ITベンダーの東軟集団(Neusoft)のBPOセンター内に掲げられた日本語による標語
写真3●中国大手ITベンダーの東軟集団(Neusoft)のBPOセンター内に掲げられた日本語による標語

 大連の中心部にある大連駅から西にタクシーで30分ほど走ると、そこに大連ソフトウェアパークがある。東京ドーム約64個分の敷地にBPOサービスやオフショア開発の提供拠点が並ぶ(写真2)。入居の歴史が長いのが中国大手の東軟集団(Neusoft)で、2004年から日本向けのBPOを手掛ける(写真3)。IBMやアクセンチュア、ゼネラル・エレクトリック(GE)の社内シェアードサービス部門が独立したジェンパクト(Genpact)といった大手ベンダーの拠点も、ほとんどがこのパークに集積する。

写真4●野村総合研究所のBPOセンターが入居する大連ソフトウェアパークの23号館
写真4●野村総合研究所のBPOセンターが入居する大連ソフトウェアパークの23号館

 昨年10月、大連ソフトウェアパークの23号館にBPOセンターを開設したのがNRIだ(写真4)。37歳にして野村綜研(大連)の総経理を務める高木重史氏は意欲満々。内装前のコンクリートむき出しのフロアの中で「現在は80人のメンバーだが2013年3月までに300人に増やし、このフロアを一杯にする」と意気込む。

 NRIのBPO事業は金融関連サービスが中心で売上高は2011年3月期で12億円程度。2012年3月期に20億円に増やし、さらに2016年3月期には受託企業100社で売上高100億円を目指すという。大連センターは1000人にまで拡大し、その原動力とする。「金融サービスBPOの競合が少ないため、育成した人材を安定的に確保できると見て進出を決めた」(NRIでBPO事業を推進する新谷忍金融ITイノベーション事業本部チェンジマネジメント推進部長)。

人材派遣や通信業もBPOに参入

 NRIの入居階の一つ下に近々入居するのがIT人材派遣業パソナテックのBPOセンターである。「2009年に大連に進出し、管理職を育成できた。今年は急拡大させる」。年間200人の増員を計画するパソナテックコンサルティング(大連)の臼井宏典副総経理はこう意気込む。パソナテックの森本宏一社長は同社のBPO参入を「自然な流れ」とする。パソナやパソナテックは人材派遣を通じて企業のバックオフィス業務を顧客企業の事務所の中で“受託”してきた。顧客がさらにコストメリットを追えば、「BPOという選択肢が自然に浮かび上がる」(森本社長)。

 NRIとパソナテックが入居する23号館と片道2車線の通りをはさんだ17号館にBPOセンターを構えるのがソフトバンクグループのBPOセンター「軟銀(草冠に比)愛思(大連)科技」だ。同センターは2008年12月からソフトバンクモバイルにおける携帯電話の開通業務といった、グループ向けBPOを提供してきた。今年、そのノウハウを生かして本格的にグループ外の顧客獲得に乗り出す。「ソフトバンクテレコムの通信インフラが既に大連まで整備されている上にBPOサービスの勘所もわかった。提案から大連への業務移管まで最短3カ月で完了するような、“スピード”を売りにしたサービスを提供する」。同社の大塚泰弘総経理は意気込む。