問題
問11 バックアップに関する次の記述を読んで、設問1、2に答えよ。
X社は、保管したファイルを共有する手段として、ファイルサーバの構築を計画している。
ファイルサーバの構築においては、ファイルの損失を防ぐためにバックアップの方式や手順を考慮する必要がある。今回のファイルサーバの構築における制約事項を次に示す。
- ファイルサーバ1台ごとに、バックアップ用の磁気テープ装置を1台接続する。
- サーバ台数はできるだけ少なくする。
- バックアップ実行中は、当該ファイルサーバのファイルサービスを完全に停止させる必要があり、その間ファイルサービスを利用できない。
- バックアップに要するファイル転送時間は、ファイル1Gバイト当たり9秒とする。
なお、磁気テープの交換など、ファイル転送以外に要する時間は考慮しなくてよい。
[通常バックアップ方式の検討]
すべてのファイルをバックアップする、通常バックアップ(フルバックアップともいう)方式を用いることを検討する。
ファイルサーバのバックアップに関する条件を次に示す。
(1) 3年後(36か月後)の予想ファイルサイズで、通常バックアップが毎日実行可能であること。X社の四つの部署A~Dが保有する現在のファイルサイズ、毎月の予想増加サイズ、3年後の予想ファイル転送時間の関係は表のとおりである。
(2) 図の各部署のファイルサービス停止可能時間帯でバックアップを完了すること。
例えば、部署Aは顧客をサポートする部署であり、ファイルサービスを02:00~06:00の4時間に限って停止できる。
なお、週末である土曜日02:00から月曜日06:00までの52時間は、どの部署もファイルサービスを停止できる。
3年後、四つの部署の予想ファイルサイズの合計は( a )Gバイトで、通常バックアップに要するファイル転送時間の合計は( b )時間になる。
ファイルサーバを1台のサーバで構築した場合、全部署のファイルサービス停止可能時間帯の条件を満たすことができない。2台のサーバで構築し、1台のサーバを( c )が、もう1台のサーバを残りの部署が使えば、これらの条件を満たすことができる。
[バックアップ方式の見直し]
ファイルサーバ1台で構築できるよう、バックアップ方式を見直すことにした。月に1度、第1日曜日に通常バックアップを行い、そのほかの日は、次に示す増分バックアップ又は差分バックアップのいずれかを行う。
- 増分バックアップ:直前の通常バックアップ又は増分バックアップから追加・変更のあったファイルだけをバックアップする。
- 差分バックアップ:直前の通常バックアップから追加・変更のあったファイルすべてをバックアップする。
バックアップ方式を決めるために、次の2点について上記2方式を比較し、検討した。
- 各部署のバックアップ対象ファイルの合計サイズは、毎月の予想増加サイズの2倍を超えないものとして、日々の増分バックアップ又は差分バックアップをファイルサービス停止可能時間帯で完了すること。
- ファイルサーバの故障時など必要時に、速やかにかつ安全にリストアできること。すなわち、手順が煩雑にならないこと、できるだけ読み込む磁気テープの本数が少なくなること。
検討結果は次のとおりであった。
1.について、増分バックアップ及び差分バックアップファイルの対象となるファイルサイズの合計は、最大( d )Gバイトであり、いずれの方式でも、最短である部署Aのファイルサービス停止可能時間帯でバックアップを完了できることが分かる。
2.について、毎回異なる磁気テープを使用する運用において、差分バックアップは、増分バックアップに比べ、次のような特性をもつことが分かった。
- バックアップに要するファイル転送時間の合計は( e )。
- リストアする場合に読み込む磁気テープの本数は( f )。
また、( g )バックアップの方が、最新の状態にリストアするための手順が煩雑になる。さらに、各磁気テープにバックアップしたファイルについては冗長性が全くないので、いずれかの磁気テープが読み取れない場合、その磁気テープ以降の状態にリストアすることができない。
1.と2.の検討結果から、X社は( h )バックアップ方式を採用することに決めた。