東日本大震災では、TwitterやFacebookなどのソーシャルネットワーキングサービスが情報の伝達に大きな力を発揮した。「情報の伝達速度」という点では、Webや電子メールといった旧来のサービスに圧倒的に勝っていた。

 例えば安否情報。震災発生直後から、Twitterではものすごい数の安否情報が飛び交っていた。地震の発生そのものに関する情報も、多数のユーザーをフォロー(発言を見ること)していれば、テレビなどの地震速報よりも早く分かるケースが珍しくなかった。

 東京電力が3月14日から実施している計画停電に関しても、TwitterやFacebookなどのソーシャルサービスが活躍している。筆者の場合、例えば朝の通勤時間帯に、自分が使う駅の情報を「電車が全然来ません」「入場規制が行われていて1時間以上並んでいます」といった具合にリアルタイムに知ることができ、非常に役に立っている。こんなメディア/サービスは、ほかにない。

「集合知」による迅速な被災者支援が実現

 TwitterやFacebookなどのソーシャルサービスが備えるメリットは大きく三つある。それは、「情報の拡散速度の速さ」「情報の受け取りやすさと選択の容易さ」、そして「多数のユーザーによって作られる集合知」である。

 前二者については既に説明した通り。何かが起これば誰かがつぶやく。その情報をほぼリアルタイムに入手できる。しかも、自分が知りたい情報だけを絞り込んで見ることができ、何もしなくても情報が次々と更新されてやってくる。Webやメールではありえない世界だ。

 集合知についてはどうか。集合知とは、ざっくり言うと、多様な考えや感性を持ったユーザーが多数集まって、自分の考えを表明したり意見交換をしたりすることで、一人ではなし得ないような優れた成果物を生み出すこと。今回の震災では、まさにこの集合知による被災者支援や復興支援のためのアクションがあちこちで見られた。

 例を挙げれば枚挙に暇がないが、例えば震災に関する情報発信のために、クラウドベンダーの社員がクラウドを無償で提供したい旨を発言し、その呼びかけに集まった人がアイデアなどを出し合い、短時間でサービスを構築するといった一連の出来事を筆者はTwitter上で目の当たりにした。

 ネット上で誰かが呼びかけ、それに対して緩やかに結びついたグループのメンバーが自由意志で意見を述べ、瞬く間に情報が集約されたり作業が進んだりしていく――。Webとメールが主役だった時代とは明らかに違うペースだ。完全に時代が変わったことを感じる。