3月11日午後2時46分ころに発生した三陸沖を震源とする世界最大級の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)では、東日本の太平洋沿岸が大津波に見舞われ、阪神・淡路大震災をはるかにしのぐ多数の死者・行方不明者を出すことになってしまった。

 都市型災害だった阪神・淡路大震災とは異なり、広範囲でしかも大規模な津波による被害、さらには福島第1原子力発電所の事故も加わり、多数の死者・行方不明者だけでなく、避難を余儀なくされている住民も多数いる。そうした皆様には、心からご冥福とお見舞いを申し上げるとともに、被災地の復興が一日も早く進むことを心から願う次第である。

 刻一刻と状況は変化しているが、現時点での状況を踏まえて、災害時における自治体窓口機能に関する考えを記しておきたい。

急がれる自治体窓口機能の復旧

 東日本大震災の被害と影響は、日に日に拡大している。特に福島第1原発の問題は依然として危機的な状況が続いており、収束のめどが立っていない。このため、事故の推移と影響に目を奪われがちになるが、一方で被災地域の住民に対して、生活支援を行える体制を整えることが行政にとっては急務である。そのためには、一刻も早く被災地の自治体の窓口機能を復旧させる必要がある。

 特に、多数の行方不明者の安否確認作業や死者に対する死亡届と火葬・埋葬許可、さらには災害救助法や被災者生活再建支援法などに基づく避難住民に対する各種支援施策や地方税の減免、各種の被災者支援策に必要となる家屋の被害程度を証明する「り災証明」の発行や、被災地域全域の避難所・避難者の管理などは、住民の生活を保障する意味でも早急に対応する必要がある。

 ほかにも、義援金の交付、仮設住宅の入・退居などの手続き、各種保険料の減免や納期延長、医療助成の特例措置、さらには福祉サービスの提供など、対応を急がなければならない自治体の窓口業務は多岐にわたる。

 ところが今回の震災では、いくつかの自治体は庁舎そのものまで大津波に襲われ、自治体の窓口機能がそっくり押し流されて崩壊する事態となった。果たして、こうした事態に直面して、自治体の窓口機能をどのように復旧させることが可能だろうか。