津波によって外壁が消失するほどの被害を受けた岩手県内にあるNTT東日本の通信ビル「鵜住居(うのすまい)ビル」
津波によって外壁が消失するほどの被害を受けた岩手県内にあるNTT東日本の通信ビル「鵜住居(うのすまい)ビル」
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 3月11日に発生した東日本大震災では、電力など他の社会インフラと同様に、固定電話やアクセス回線、携帯電話網といった通信インフラでも大きな被害が発生している。例えばNTT東日本の場合、東北3県(岩手県、宮城県、福島県)を中心とする被災地エリアにおいて、震災後に最大で約145万に上る回線サービスが利用できない状態に陥った。

 電波を利用する携帯電話やWiMAXなどのサービスも、音声やパケットを中継する基地局が震災でダメージを受ければ、やはり利用できなくなってしまう。実際に、震災発生直後には東北および関東地方を中心に、多数の基地局で故障や電源断などによるトラブルが発生、サービスを提供できなくなっている。

 携帯電話の場合、震災発生翌日の12日時点で、NTTドコモでは東北および関東甲信越地域で合計6720局、KDDI(au)では東北6県で合計1933局、ソフトバンクモバイルでは同じく東北6県で3300局弱がサービスを提供できない状態に陥ったという(数字は各社の発表資料より引用。数え方などは各社の基準に基づく)。

 これほどのダメージを受けた通信インフラだが、通信事業者各社が急ピッチで復旧作業を進めた結果、わずか2週間ほどで各社とも全体の9割前後が復旧するまでに至っている。津波によって通信ケーブルが完全に切断されたり、局舎や設備が跡形もなく消失したケースがあったりすることを考えると、驚くべき復旧ペースといえる。

 ただし、復旧作業はこれから正念場を迎える。残された1割前後を含めて回線やサービスを完全復旧させるには、様々な困難が伴うと予想されるからだ。震災発生後からこれまで、通信インフラがどのように復旧してきて今どのような状況にあるのか、関連するニュース記事をピックアップした。

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