経営環境が大きく変化する中で、情報システムにも変革が求められている。最大の要件は、ビジネスやアプリケーションの変化に備えるプラットフォームの確立だ。ITベンダー各社はどんな基盤像を描いているのだろうか。マイクロソフトが主張する基盤像を紹介する。(ITpro)
利用者に近いITでありたい
マイクロソフトが創業以来、IT業界の中で担ってきた役割は、ITを利用者に近づけることである。ときにITの面白さを前面に押し出し、ときには IT らしさを封印しながら、常に「利用者の近いところにあるIT」を提案してきた。
初めに考えたことは、世界中の人がPCを使えるようになることだ。それが実現されれば、ソフトウエアによって世界中の人々をつなぎ、世界中の人々のポテンシャルを引き出すことをゴールに変えた。その結果が、現在のマイクロソフトのポジションにつながっている。その動きは、世界の情勢や景気、人々の働き方がどう変わろうとも、一貫してきた。
是非一度、2009年3月に公開したビデオ『Productivity Future Vision Video』をご覧いただきたい。
このビデオの見方はさまざまだろう。デバイスの観点、クラウドの観点、ネットワークの観点、サービスの観点、そしてグローバルなコミュニケーションの観点など、その見方によっては、「既に実現できていることだ」と受け取る人がいれば、「先は長い」と感じる人もいるだろう。確かに、このビデオが描いている世界がリアルに実現されるまでには、まだまだ越えなければならない壁があるのは間違いない。
その事実を理解したうえで、“次世代IT基盤”について論じたい。そこでは、「このビデオのような世界を実現したい会社」なのだというイメージを思い浮かべていただければ、さまざまな製品や技術、サービスを有するマイクロソフトという会社をシンプルに理解してもらえるだろう。
次世代IT基盤に必要な三つの要素
マイクロソフトが持つ多種多様な製品には、それぞれにコンセプトがあり、それらが別々に語られることが多い。ただし、いずれの製品においても、マイクロソフトがIT基盤に欠かせないものとして常に重要視してきた観点がある。その観点とは、以下の三つである。
●Productivity=便利で生産性の高いソフトウエア
●Secure Infrastructure=使いたい時に、いつでもどこでも使える信頼できるプラットフォームとデバイス
●Development=使いたいアプリケーションを容易に作り出せる環境
これら三つは、ITを使って何かを成し遂げたいと思った時に欠かせない要素である(図1)。
以下では、各要素について説明する。