スマートフォンの勢いが止まらない。MM総研の2010年12月の発表によると、2010年度のスマートフォン出荷台数は675万台。当初440万台としていところを上方修正した。234万台だった2009年度の約2.9倍となり、総出荷台数の18.1%を占める計算だ(MM総研の発表資料)。
スマートフォンの差異化機能の一つとして、通信事業者がおサイフケータイ機能の搭載を口にし始めたのが2010年春のこと。それから1年、Android端末のおサイフケータイ対応機種は一気に増えた(第1回の表2)。
おサイフケータイ対応機種の広がりに伴い、サービス提供事業者もスマートフォン対応機向けのサービス開発を急いでいる。
既に「iD」を提供するNTTドコモ、ビットワレット(Edy)、イオン(モバイルWAON)、ANA(ANA旅達)、ビックカメラ(ビックポイントケータイ)、ヨドバシカメラ(ゴールドポイントカード)、日本マクドナルド(かざすクーポン)、JCB(QUICPay)が対応済み。JR東日本(モバイルSuica)、セブン&アイ・ホールディングス(nanaco)、JAL(ICポケットアプリ)なども今後の対応を予定している(写真1)。
サービス事業者に聞くと「スマートフォンへの対応は当然」とする一方で、既存の携帯電話とスマートフォンの違いや、主導企業が不在であることによる混乱があるようだ。以下では、いち早く対応した日本マクドナルドとANAの事例を中心にスマートフォン対応の実際を紹介する。
中継サーバーの追加で対応
日本マクドナルドが、おサイフケータイ機能を搭載したAndroid端末向けに「かざすクーポン」の提供を始めたのは2011年3月4日のこと(写真2、写真3)。かざすクーポンは、マクドナルド店頭の専用読み取り機にユーザー端末をかざすことで、セットメニューなどの割引を受けられるサービスである。おサイフケータイの電子マネー決済サービスとの併用で、注文から商品代金の支払いまでの一連の処理を「かざす」だけで実行可能になる。