今回は、グローバルな形で情報システムを構築した後の話を取り上げます。前回までの4回の記事を通して話した、グローバリゼーションの考え方、要件定義の留意点、全体最適と個別最適の考察--について、「心(人材育成)」、「技(システム構築)」、「体(プロセス)」の3つの要素の観点から考察し、グローバルシステムを構築した後の運用・保守体系について言及します。

 皆さん、前回の「第4回 グローバルとローカルの機能比率は8対2が目安」はいかがでしたでしょうか? グローバリゼーションに伴う技術的テクノロジーの活用方法や導入方法ではなく、グローバルスケールで「情報システム構築全般」を展開していくというテーマ・視点で話をしました。

 まず、グローバリゼーションにおける情報システム構築について、「システム構築は誰のためにあるのか?」という話をしました。情報システムを使用するユーザーグループを、経営戦略の策定・実行に関わる「経営陣」、各部門でそれぞれの戦略実行をマネージする「各部門責任者」、各部門で実際の業務を実行する「実務担当者」--の3つのグループに分けて、それぞれのグループの異なるニーズを考えながら、システムを定義する必要性があると留意点を話しました。

 そうした情報システム構築の失敗例として「経営ダッシュボード」の構築を取り上げまた。「数字と物が一対一対応」することの重要性を念頭に置き、商流・物流・情報のグローバルスケールでのプロセスの一致を考えないと、KPIは経営に提供できても現場の数字や業務とKPI指標が乖離してしまう危険性についても話しました。

 また、まとめとして「グローバリゼーションにおけるシステム構築の5つのフェーズの留意点」を紹介しました。念のために、グローバリゼーションにおけるシステム構築の各フェーズの留意点をもう一度記載しておきます(図1)。

図1●グローバリゼーションにおけるテクノロジー構築の留意点
図1●グローバリゼーションにおけるテクノロジー構築の留意点
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