太陽生命保険のCIOに相当する緑川国雄執行役員IT企画部長(写真撮影:北山 宏一)
太陽生命保険のCIOに相当する緑川国雄執行役員IT企画部長(写真撮影:北山 宏一)
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 太陽生命保険で2006年からシステム開発を指揮するのは、CIO(最高情報責任者)に相当する緑川国雄執行役員IT企画部長である。緑川執行役員は中国でのオフショア開発でコスト削減を進めながら、その一方で新しい保険商品の販売を支える新営業支援システムに積極的に投資している。

 同社が推進するオフショア開発は、中国・大連で実施している。平均すると「コストは日本の3分の1から4分の1まで下がる」というが、実行するには情報漏えいなどのリスクを伴う。そこで緑川執行役員は何度も大連に赴き、現地を見て回った。すると中国人の若者は単に日本語を話せるだけではなく、非常に勤勉であることを自分の目で確かめられたという。

 オフショア開発で浮いたコストは戦略的なシステム投資に回す。2008年に稼働した新営業支援システム「T-SMAP」には、営業出身の緑川執行役員が支社にいた頃から実現したかったコンサルティング営業のためのノウハウを多数組み込んだ。T-SMAPは稼働から2年以上がたつが、「営業担当者のサービス品質を高める武器になった」と自信を見せる。

 緑川執行役員はパフォーマンスとコスト、リスクの3つのバランスを取ることを常に心がけて、CIOとして経営の期待に応えようとしている。金融機関はどうしてもリスクに比重を置きがちになるが、「しっかりと3つのバランスを見て判断していく」という。

Profile of CIO
◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・単にIT部門の担当役員としてではなく、経営とIT部門の橋渡し役としての役割を果たすことを常に念頭に置いています。また、経営トップの考えや経営戦略をよく理解し、IT部門の現場にトップの考えを伝える役目も果たそうとしています。

◆ITベンダーに対して強く要望したいこと、IT業界への不満など
・顧客の利益(成功)を考える誠実なビジネス活動を期待したいです。具体的には、全体最適の観点から見た情報提供や提案活動、デメリット情報の提示、見積もりコストの透明性などです。

◆普段読んでいる雑誌・新聞
・日本経済新聞
・日経ビジネス
・日経情報ストラテジー

◆最近読んだお薦めの本
・『わが国金融機関への期待─ITリスク管理と事業継続の未来を拓く―』、(富永 新 著、生産性出版)

◆ストレス解消法
・ラグビー観戦