本間 淳一/NTTコリア

 サムスン電子のスマートフォン「GALAXY S」は日本で人気と聞いているが、韓国でもスマートフォンは大ヒット中だ。

 元々、韓国人は日本人以上に携帯電話が好きで、映画館の中にいるときなどを除けば、かかってきた電話を受けないということはほとんどない。

 電車内はもちろん、食事中でも電話を受け、通話しながら口に物を運び続ける。

 またソウル市内では、携帯電話の電波が届かないということは、まずない。「地下でもどこでも電波が届かないようなお店には行かない」と聞くこともある。韓国では登山を趣味にする人が多いが、ソウル市内の山なら山頂でも当然のごとく使える。

 韓国人はSMS(Short Message Service)も大好きだ。カップルは一日に100通を超えるメッセージをやり取りするという。SMS特有の略語表記や若者言葉がある点、絵文字を多用する点も日本とよく似ている。

 一方、固定ブロードバンド回線は世帯普及率がほぼ100%。全人口約5000万人弱のうち、3000万人近くが個人ホームページを持っている。「PC房」と言われるネットカフェには、オンラインゲームを楽しむ若者が集まり、ゲームセンターのようだ。CATVにはオンラインゲームの専門チャンネルがあり、延々とプロゲーマーの操作画面を映していたりする。

チャットや語学学習のアプリが人気

 このように携帯とネットが大好きな韓国人にスマートフォンが受けるのは当然のことといえる。以下では、人気のアプリをいくつか紹介しよう。

 ほとんどのスマートフォン所有者が使っていると言われるのが、SNS(Social Networking Service)アプリの「Kakao Talk」である。SMSと同じ感覚で1対1、またはグループでのチャットが気軽に行える。このアプリは日本語にも対応しており、日韓間で同アプリを使うとまるで同じ国にいるかのようにチャットができる。

 語学学習系アプリも人気が高いと聞く。韓国人は語学学習に熱心で、ちょっとした時間を使って電話でレッスンを受けるといったスタイルの英会話スクールがある。スマートフォンでも同様のニーズがあるようだ。

 お酒好きの韓国らしさが表れているのが、「飲酒生活白書」というアプリだ。GPS機能で、近くのお店検索や帰りの代行運転、タクシーの呼び出しができる。さらに酒席を盛り上げるゲームもある。

 「常に他者とつながっていたい」「新しくて便利なものを試したい」という韓国人共通の欲求を、スマートフォンは見事に満たしている。ますます普及の速度は高まり、人々の生活を変えていく予感がしている。

本間 淳一(ほんま じゅんいち)
NTTコミュニケーションズの韓国法人であるNTTコリア社長。1995年から米国法人勤務。西海岸、ワシントンDC近郊、ニューヨークと転居しながら10年間在米。2年間の日本勤務を挟み、韓国赴任となる。韓国語では「頑張れ!」を「ファイティン!(Fighting)」と言うが、戦いながらも楽しく仕事をしている。赴任当初は閉口した爆弾酒にもそれなりに慣れてきた。