米Oracle社は2010年12月22日、仮想化ソフトの最新版「Oracle VM VirtualBox 4.0.0」をリリースした。多数の新機能を追加したメジャーアップデート版であることに加え、オープンソース版に一本化したなどの変更がある。

 「Oracle VM VirtualBox」(以下、VirtualBox)は、LinuxのほかWindowsやMac OS X、Oracle Solarisなどをサポートするデスクトップ向けの仮想化ソフトである。仮想マシンの設定および管理がGUIで操作できることや、ユーザー登録不要で無償利用できることなどから広く利用されている。

 2010年12月22日にリリースされたVirtualBox 4.0.0の最大の変更点は、配布形式の一本化である。従来は、GPLバージョン2を採用したオープンソース版と、個人用途/評価用途に無償配布されるPUEL(Personal Use and Evaluation License)版の2種類を提供し、このうちPUEL版だけをバイナリー形式で配布していた。PUEL版は、オープンソース版には存在しないUSB 2.0対応機能、RDP(Remote Desktop Protocol)対応機能、米Intel社のギガビットイーサネット対応のPXEブート用ROMを備えるなど、機能面での違いがあった。

 VirtualBox 4.0.0からは、配布形式をオープンソース版に一本化し、バイナリー形式で配布するのも同版になった。その上で、これまでPUEL版にだけあった機能を「Extension Packs」という追加モジュールの形で提供する。PUELが適用されるのはExtension Packsのみとなる。これにより、Linuxディストリビューターが、オープンソース版を独自にソースコードからビルドする必要がなくなり、短期間で新版に対応可能になる。この体制変更に伴い、オープンソース開発者が独自の拡張モジュールを作成して提供できるようにもなった。今後、数多くの機能が拡張モジュールとして提供される可能性が出てきた。

 機能面の強化点も数多い(表1)。主な新機能には、仮想マシンのスケール表示対応、仮想ディスクのリサイズ対応、Linux/Solarisゲストのマルチモニター対応、CPU使用率やディスク入出力帯域の上限設定への対応などがある。

表1 VirtualBox 4.0.0の主な変更点と新機能
表1 VirtualBox 4.0.0の主な変更点と新機能
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 なお、2011年1月18日には、VirtualBox 4.0.0の不具合を修正したバージョン4.0.2がリリースされている。