未曽有の大震災を受けて、ITベンダー各社は、被災者や被災した企業・団体に対する様々な支援策を打ち出している。
今回の支援策で特に目立ったのが、クラウドサービスの無償提供。これは、被災した企業・団体あるいは被災者を支援したい企業・団体に対して、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)やPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)、IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)を無償で提供するというものだ。これにより、迅速なシステム構築を支援する。また、コンピュータメーカー各社は、被災した顧客に対して、ハードウエアの修理・保守費用を割り引く支援策を発表している。無線LANの開放やメール無料化など、通信手段に関連した支援策を発表した企業も多い。
復興支援のためには、義援金も大きな力になる。今回の震災では、多くのネット企業が、ネット上で災害復興のための義援金の受付を開始した。Yahoo! JAPANが実施している「東北地方太平洋沖地震インターネット募金」に寄せられた募金の総額は、17日14時時点ですでに10億円を突破した。義援金の提供を発表した大手企業も多い。
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クラウドサービスの無償提供を相次ぎ発表
大手クラウドメーカー各社は、被災者を支援したい企業・団体、あるいは被災した企業・団体に対して、自社のクラウドサービスを無償で提供することを発表している。
被災者への情報発信を行いたい企業・団体に対しては、NECビッグローブが「BIGLOBEクラウドホスティング」、日本マイクロソフトが「Windows Azure Platform」、ニフティが「ニフティクラウド」と「ニフティクラウド ベーシックホスティング」を、それぞれ無償提供しているほか、セールスフォース・ドットコムも、安否確認や被害情報把握などのデータ管理用途向けに、SaaS版CRMツール「Salesforce CRM」とコラボレーションツール「Chatter」の無償提供を開始している。
被災した企業や団体に対しては、グーグルが「Google Apps for Business」を無償で提供すると発表しているほか、富士通も12種類のクラウドサービスを無償で提供している。
BIGLOBEが震災被災者への情報発信用にクラウドを無償提供
日本マイクロソフト、被災地支援向けに同社製品やクラウドなどを無償提供
ニフティが震災情報発信向けにクラウドを無償提供、パブリック型とホスティング
グーグル、被災企業など向けにGoogle Appsを無償提供
富士通がクラウドサービスを無償提供、12種類のメニューを用意
日本IBMが自治体や非営利団体にクラウドを3カ月無償提供、東日本大震災対応で
コンピュータメーカーは、修理費用、保守費用を割り引き
コンピュータメーカー各社は、被災者や被災した企業・団体に対して、修理費用や保守費用を割り引くことを発表している。例えば、NECは、パソコンやルーター、周辺機器の修理を3割引きで引き受けることを発表。日本IBMは被災した企業や自治体向けに保守サービスの特別対応を発表している。
日本ヒューレット・パッカードも、被災地向けに特別料金での修理サービスを開始。富士通は、個人向けパソコン関連製品の修理代金を割り引く特別引取修理サービスを提供中である。
NECが東日本大震災で1億円相当の支援、個人向け製品の修理費は3割引きに
富士通が被災した個人ユーザーに対し修理代金を割り引くサービス
通信手段の支援策も
被災者にとって極めて重要な通信手段にかかわる支援策を打ち出している企業も多い。ルクセンブルクのスカイプ・テクノロジーズは、公衆無線LANサービス「Skype Access」を無償開放したほか、加入電話などへの発着信に使える通話用のクレジット「スカイプ・クレジット」についても80円分を無償で提供している。ソフトバンクモバイルは、東日本巨大地震が発生した2011年3月11日から1週間分について、すべてのユーザーのメール料金を無料にすると発表。海外の通信各社は、日本への通話を無料にすると発表している。
スカイプが震災支援のため無線LANを無償開放、25分間の無料通話も
ソフトバンクモバイル、大地震発生から1週間分のメール料金を無料に
AT&TとVerizon、東日本大震災を受け日本への通信を一定期間無料に
義援金の提供発表も相次ぐ
多くのネット企業が、災害復興のための義援金の受け付けを開始した。大震災の被害拡大を受け、義援金の提供を発表した企業も多い。
北沖地震被災地向けの義援金、ヤフーやミクシィらネット企業が続々と受付を開始
Microsoft、東日本大震災の復興支援に200万ドル相当の寄付
Yahoo! JAPANの震災向けインターネット募金が総額10億円を突破、68万人超が寄付