国土交通省は、航空管制システムのトラブル再発防止のために、「システム担当者が、航空管制システムの開発委託先であるITベンダーの開発会議やテスト作業に立ち会う」といったルールを決めた。2011年4月、新ルールを全面的に導入する。
航空管制システムを担当する航空局管制保安部保安企画課管制情報処理システム室の調査官クラスの職員が、ITベンダーのオフィスや開発拠点に出向き、設計や開発、テストといった各段階で、ドキュメント類やテストの状況を直接チェックする。「システムに詳しいベテラン職員が、要所でITベンダーの作った成果物をチェックすることで、システムの品質を高める」。国交省の林芳彦管制情報処理システム室課長補佐は述べる。
国交省は、システム構築プロジェクトに対する当事者意識をより高めることで、システム成果物の品質を向上させる。システム担当者が開発現場に出向けば、ITベンダーの技術者の緊張感も高まる。システムの品質向上につながることも期待できる。
過去に発生したトラブル 新機能の設定ミスが原因で、羽田空港の航空管制システムが2010年1月14日にダウンした。このために24便が欠航し、177便に遅れが出るといった影響が出た。 (日経コンピュータ2010年2月3日号「動かないコンピュータ」) |
同省は2011年4月、ITベンダーが開発したシステムの受け入れテストの方法も見直す。受け入れテストで用いる標準のチェック項目を作る。「テストに抜けがなくなるよう、チェック項目を標準化しているところだ。システムごとのチェックレベルの違いをなくし、全体の品質を高める」(林課長補佐)。これまでは、システムごとにチェック項目が異なっていた。