「Chatterは当社で最も急速に拡大したサービスだ。開始からわずか半年で利用者は6万社を超えた。このChatterを誰もが無料で使えるようにして、企業のコラボレーション改革を支援する」。昨年12月、米セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフCEO(最高経営責任者)は、無料版の「Chatter」をこう紹介した。

 Chatterは、一般消費者向けのミニブログである「Twitter」の企業版といえるクラウドサービスだ。利用者が短いメッセージを投稿したり公開したりすることで、情報をリアルタイムに共有できるようにする。

 同社は昨年6月から有料版Chatterを提供。2月に無料版の「Chatter.com」の提供を開始することで、フリーミアムモデルに移行する。

社内協業を「ソーシャル」に

図1●セールスフォース・ドットコムの「Chatter」の画面例
図1●セールスフォース・ドットコムの「Chatter」の画面例
「Twitter」のようなミニブログ(短い文章の投稿と共有)による情報共有システムを、社内利用に限定して構築できる
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 Chatterの画面は一見すると、Twitterによく似ている(図1)。あるデータの更新状態をチェックするには、そのデータを“フォローする”。メッセージを掲示板に投稿する要領で短い文章を“つぶやく”といった要領で操作できる。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の技術を利用している点も同じである。

 Chatterでは、利用者が投稿したつぶやきだけでなく、個々の利用者に関係するありとあらゆる社内システムのデータがつぶやく。これが最大の特徴だ。自分が参加しているプロジェクトのメンバーがプロフィールを修正したり、文書ファイルを更新したりした際に、その結果がTwitterのようなつぶやきとして画面に表示される。各データの最新状態を、リアルタイムに把握できる。

 企業での利用を前提としており、社内や特定のグループなどの範囲だけで情報を共有できるようにしている。Chatterの発言を閲覧・検索できるのは、社内(同一ドメインにあるネットワーク)に限定できる。