前回説明したとおり、中小システム会社がPaaSを利用したSaaSサービスで成功するには、(1)「魅力ある商品」、(2)「短期客数アップ」、(3)「高い契約更新率」が求められる。今回は、これら三つのポイントをより具体的に説明する。

新しい空白マーケットを狙う

図1●クラウドの登場によって、これまでシステムを導入できなかった中小零細企業も新たな市場となりうる
図1●クラウドの登場によって、これまでシステムを導入できなかった中小零細企業も新たな市場となりうる

 (1)の「魅力ある商品」を考えるには、どの業種・業界をターゲットにするかをまず考えなければならない。中小システム会社がSaaSを開発する際、過去に特定業界向けのシステム開発を多数手掛け、業務ノウハウを蓄積しているのであれば、その業界をターゲットにするのが望ましい。だが、下請け中心で受託型の中小システム会社の多くは、「得意な業界は特にない」というのが実情だろう。

 そうした中小システム会社には、「空白マーケット」を攻めるとよい。空白マーケットとは、市場としてまだ入り込む余地があるセグメントのこと。これまではどちらかというとニッチな分野が空白マーケットとされてきたが、クラウドの登場によってその領域は拡大している(図1)。これまで予算の制約からシステムを導入できなかった中小零細企業も、クラウドサービスの顧客となり得るからだ。

ユーザーを驚かせる

 ターゲットとなるマーケットが決まったら、次は商品であるSaaSにどのような機能を実装するかを決める。その際は、「びっくり機能」を必ず盛り込むようにする。「びっくり機能」とは、その名の通りユーザーが「えっ!こんなことができるの!!」と驚く機能のこと。クラウドであればそれが可能になる。

 クラウドはインターネットとの親和性が非常に高いので、「インターネットだからこそ」という機能をサービスに盛り込みやすい。例えば、Googleマップの公開APIを利用すれば、自社サービスに地図機能を簡単に追加できる。今まで、住所しか表示していなかったところに「地図」ボタンを配置するだけでもサービスの魅力が増す。既存パッケージソフトとの違いも出しやすい。