前回は、アライアンス成功の4条件、協業パートナーの見つけ方、Win-Winソリューションの作り方について紹介した。今回は、アライアンスの具体的な展開方法について紹介しよう。

アライアンスの第1歩

 アライアンスまがいの関係でよく出てくる言葉が、「案件が出てきたら一緒にやりましょう」だ。この言葉が出るようでは、アライアンスは一向に進まない。

 アライアンスの展開では、共同で取り組まざるを得ない状態を作ってしまうことが鍵を握る。例えば「協業セミナーの開催」をするとよい。協業セミナーは、期間限定のプロジェクトとして活動ができる上に、お互いの新規顧客の開拓につながりやすいからだ。アライアンスの具体的な第1歩として協業セミナーの開催をお勧めする。

協業セミナー実現のステップ

 それではパートナー企業との協業セミナーはどのように開催すればよいのか。(1)パートナー企業選定、(2)Win-Winソリューション設定、(3)セミナー企画、(4)セミナー集客、(5)セミナー運営、(6)アフターフォローのステップを踏んで実行するのが一般的だ。順を追って説明しよう。

 (1)パートナー企業選定は、同じ顧客層をターゲットとしながら競合しない企業をパートナー候補に選ぶ。これはアライアンスの成功条件でも説明した通りだ。協業セミナーは同業種(IT企業ならIT企業同士)で実施することが多いが、異業種を含めて可能性のある企業をピックアップしてみよう。今まで考えもしなかった企業名が出てくるかもしれない。

 (2)Win-Winソリューション設定は重要だ。繰り返しになるが、協業セミナーには、共同提案できるWin-Winソリューションが欠かせない。これがあるかないかでセミナー後の成約率が大きく変わってくる。例えば、小社(船井総合研究所)はIT企業をターゲットとしているソフト会社と協業セミナーを実施することがあるが、その場合はソフトとコンサルティングをセットにしたソリューションを用意する。

図1●協業セミナーの企画書のイメージ
図1●協業セミナーの企画書のイメージ
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 もちろん、商品によっては共同提案が難しい場合もあるだろうが、それでも用意すべきだ。Win-Winソリューションがないと、単発のセミナーを2部構成で開くのと変わらず、協業セミナーの意味がない。結果として、セミナーからの成約率も上がらない。

 (3)セミナー企画では、少なくとも「ターゲット」「セミナーのゴール」「タイトル」「内容」の4点を決めておく。パートナー企業との打合せの際には、簡単でも良いので企画書を用意しておくとよいだろう(図1)。

 打ち合わせでは「お互いのゴール設定(落としどころ)」と「ゴールに向けたセミナーのシナリオ設計」の2点は必ず詰めておきたい。ここをしっかり詰めることができるかどうかで、セミナーからの成約率が明らかに変わってくる。