長引く不況により、システム会社を取り巻く環境は厳しさを増している。IT投資の減少、派遣型ビジネスモデルの崩壊、開発業務の付加価値の低下、海外の安い労働力との競争激化などにより、これまでと同じビジネスモデルをとり続けるシステム会社は受注、売り上げ共につらい状況に追い込まれている。

 ただし、こうした不況下でも、成長している会社はある。新規客を獲得する「顧客開拓力」を備えた会社だ。ここで言う顧客開拓力とは、「見込み客を集める力」と「集めた見込み客を成約できる力」の二つを意味する。前者はマーケティング力、後者はセールス力と言い換えても良いだろう。

 セールス力は、それぞれの営業担当者が持つスキルや経験によって差が出やすい。このため優秀な営業担当者のセールス力だけに頼った顧客開拓は危険だ。それよりもセールス力に頼らず、平均的な営業担当者でも売れる仕組みを作るほうがよい。つまりマーケティング力重視の顧客開拓を実施する。

 マーケティング力重視の顧客開拓にはいくつかの手法がある。今回から2回に分けてWebサイトによる顧客開拓の方法を紹介する。

引き合いを最大化するWebサイト再構築法

 今や、中小のシステム会社でも自社の業務内容や実績、得意分野などを紹介するWebサイトを持つのは当たり前だ。だが、Webサイト経由で実際に仕事の引き合いにつながっているかは別だ。

 Webサイトからの引き合いなどが来たこともない、という声もしばしば耳にする。だが、その一方で月に50件もの引き合いを獲得するなど、Webサイトを活用し受注に結び付けている企業もある。

 引き合いを得ているのは、パッケージソフト会社だけではない。受託開発型のシステム会社であっても今まで作ったことのあるツールやモジュールを商品としてWebサイトに掲載することで、引き合いを獲得できる。

 Webサイトで引き合いを獲得できる会社とできない会社の違いはどこにあるのか。当社の経験からでは、うまくいっていない会社のWebサイトにはいくつかの特徴がある。

 まず多いのは会社紹介のページしかないサイト。会社紹介のページと引き合いを獲得するページは、目的が異なる。会社紹介用ページの目的は、主に会社の認知度向上や人材採用だ。引き合いを獲得するためのコンテンツとはおのずから異なる。

 次に「商品/製品紹介は1ページで概要を載せているだけ」のWebサイトも、引き合いはまず来ない。一度も会ったことがない会社に問合せをしてもらうには、見込み客に十分な情報を与える必要があるからだ。 さらに「競合にまねされないよう商品の画面イメージは極力載せない」サイトもよろしくない。購入後のイメージがわかないため、潜在顧客は問い合わせをしてこない。

 「引き合い獲得を意識せずに作成」したサイトや「作れば勝手に問合せがくると思い、販促広告には消極的」なサイトもまずい。作りっぱなしでほとんど更新しなかったり、リスティング広告を出さなかったりと、Webサイトを生かさずにほったらかしにしているからだ。Webサイトから引き合いを獲得にするには、Webサイトも一人の営業マンと同じだと考え、コストをかけて育てていく必要がある。

 自社のWebサイトがこうした状態になっていても、改善はできる。引き合いを最大化するWebサイトの再構築には主に五つのポイントがある。順を追って説明しよう。