クラウドビジネスは最先端のITビジネスのイメージが強いので、とんがった野心的な性格の経営者が多いというのが一般的なイメージかもしれませんが、実際には成功しているクラウド企業の経営者は拍子抜けするほど穏やかな人格者が多いのです。それは単なる偶然ではなく、クラウドビジネスを成功させるために必要な経営者の資質は独特だからです。
クラウドビジネスに求められる経営者の資質の一つは、5年以上の長期的な視点を持てることです。コツコツと何年もかけてユーザーを積み上げるビジネスなので、目先の利益を追求するのではなく、長期的な時間軸をにらんだ経営判断が常に求められます。
二つ目に必要な経営者の資質は、倹約の精神です。立ち上げ時期の資金繰りに苦労するのがザブトンビジネスなので、素食に耐え、無駄遣いを徹底的に管理し、身の丈に合った投資を健全に行う姿勢が大切です。
三つ目に必要な経営者として資質は、愛情の深さです。釣った魚に餌をやらずに囲い込むという姿勢ではなく、自発的にクラウド標準機能の改善をおこなうギブ&ギブの精神が必要で、顧客の満足を愚直に追求する姿勢が求められます。
四つ目に必要な経営者としての資質は、職人気質です。うなぎのタレのように、人知れずクラウド標準機能を改善し、絶対的に良いものを作るんだというプロとしてのこだわりが必要です。
五つ目に必要なクラウド経営者として資質は、ゼネコン化したIT業界に対する反骨心です。人月工数ベースのビジネスではなく、少数精鋭で多くのユーザーに本当の価値を提供して世の中にインパクトを残すという気概を多くのクラウド経営者は隠し持っています。
クラウドビジネスは華やかな最先端のトレンドとして世の中の認知度が上がってきましたが、クラウドビジネスで本当に成功している経営者は、上記のような地味だけれども地に足のついた経営者としての資質を共通して持っています。
リンジーコンサルティング 代表取締役
ASPIC主任研究員