光陰矢のごとし。私が北京から上海に来て早一年が過ぎた。中国駐在は10年を超える古参組だ。しかし北京一筋だったので、中国経済の中心と言われる上海に来て驚いた。

上海では、東京都の3倍、あるいは群馬県くらいの面積の中に、約2000万もの人が居住している。浦東や浦西エリアには近代的なビルの摩天楼が立ち並び、その一方で租界時代の洋館や街並みも残り、独特の雰囲気を醸し出している。
上海に進出する日系企業は約8000社、日本商工会には2000社以上が登録しており在外商工会としては最大規模だろう。常住する日本人は登録ベースで約5万人だが、実際には8万~10万人とも言われ、市街の一部地域ではリトル東京の様相も呈している。
個人も法人もネットに過熱気味
その上海で若者に人気なのは、携帯電話とインターネットだ。
中国の携帯電話ユーザーは2010年上半期時点で8億契約にも膨らんだ。第3世代携帯電話(3G)は同時点で2500万契約と比率は低いが、上海でのiPhone 4販売開始時には、ショップに2000人が並び1万人が購入した。
中国のインターネットユーザーは2010年上半期で4億2000万ユーザーに達している。特徴は10~20代が全体の加入者の約6割を占める点だ。日系企業は異なる商習慣や各法規制リスクがあるにもかかわらず、この巨大市場をキャッチアップしようと躍起だ。
法人分野では、中国語で「雲計算」と書く「クラウド」が脚光を浴びている。北京ではクラウドの実験施設や、中国のシリコンバレーと言われる「中関村」地区で「クラウドコンピューティング産業連盟」が発足した。上海でもクラウド産業基地構想が発表された。
このように中国では個人も法人もネットに対して過熱気味だが、それを支えるのはネットワークとデータセンターである。当社も上海と北京に、グローバル水準の高スペックなTELEHOUSEブランドのデータセンターを立ち上げた。コンセプトは中国でも日本品質の設計・建築により、日系企業が安心して利用できるICT環境作り。24時間体制で当社運用保守スタッフが常駐している。
一方、中国では上海を含め、インフラ整備が間に合わず事前説明とは異なる仕様のデータセンターが存在し、トラブルになることも少なくない。建物の外観は立派であっても生命線となる電力やネットワーク、空調が冗長化されておらず、それらに起因する障害で業務に影響が出る日系企業もあると聞く。また、国家的イベント開催時には入館が規制される一方、普段は顔パスで入館できてしまう困りもののデータセンターも少なからず存在する。中国におけるデータセンター選びには、慎重な見極めが必要である。