Q10 端末のランニングコストはどの程度なのか

A10 スマートフォン1台当たり最低でも月額8000円程度はかかる

 スマートフォンは購入価格こそ5万円程度だが、毎月の通信料や通話料がかかる。導入台数が増えてくれば、このランニングコストが重くのしかかる。

表4●スマートフォンを利用した場合の主なデータ通信料金
表4●スマートフォンを利用した場合の主なデータ通信料金
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 企業の場合、携帯電話事業者とは相対契約となることもあるが、ベースとなるのは公開されている料金プランである。スマートフォン向けのデータ通信料の定額プランを各事業者が用意している。月額4000~6000円程度だ(表4)。これに、基本使用料や通話料を加えると、最低でも8000円程度はかかりそうだ。

 試験的に数十台を導入するのであれば、それほど大きな負担ではない。ただ情報システムの一部として本格的に導入するとなると、1台当たり年間約10万円。1000台導入すると、年間1億円である。

 大規模導入前のスマートフォン利用効果の見極めが重要だ。「2011年度にiPhoneの導入台数を増やす予定だが、ランニングコストに見合う効果が得られるかは慎重に吟味する」。キタムラビジネスソリューションの角田CIOはこう話す。

 社内や店内での業務にしか使わないと割り切れるならば、携帯電話事業者の通信サービスに対応しないiPod Touchのような端末も有力な選択肢だ。もちろん無線LANの通信環境を整えることが条件になる。

Q11端末導入時の注意点は何か

A11 エンドユーザー向けの研修やマニュアル作りを徹底すべき

 「マニュアルの作成は最も力を入れた。そのおかげで導入時の工数をかなり削減できた」。コヴィディエン ジャパン 情報サービス本部システム管理部の永野信之部長は導入作業をこう振り返る。同社が2010年8月に約1000台のiPhoneを全国の営業担当者に配布した際、事前に用意した導入・操作マニュアルが効果を発揮したという。

図11●コヴィディエン ジャパンがiPhoneを1000台導入するに当たって作成した設定・操作マニュアル
図11●コヴィディエン ジャパンがiPhoneを1000台導入するに当たって作成した設定・操作マニュアル
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 マニュアルは3部構成で、100ページを超える。初期設定の手順や、iPhoneの機能説明などを、スクリーンショットを交えながら細かく記述した(図11)。これを配布し、事前の研修で説明しておいた。

 無線LANやメールアカウントの設定手順が中心だが、iPhone特有の操作方法や文字入力の方法も丁寧に解説した。スマートフォンの多くは「直感的」に操作ができるとはいえ、最初はとまどうエンドユーザーは少なくない。事前準備を怠ると、エンドユーザーが使いこなすまでに時間がかかってしまう恐れがある。