ソニーで「VAIO」や「スゴ録」などのヒット商品を手がけた後に、2010年4月までグーグル日本法人のトップを務めた著者による話題の著。顧客の支持を得ながらも、組織の論理に翻弄され力尽きてソニーを去るに至るストーリーは生々しく胸に染みる。優れたリーダーを外資に流出させてしまう日本企業の病理について考えさせられる。

 一方でリーダーとして著者が部下に折々に発してきたメッセージは、多くのビジネスリーダーにとって学ぶところが多いはずだ。将来像を描きながら高い目標を掲げて、部下を鼓舞している。「グーグルが見つけた10の事実」を自らの体験から再解釈する個所も興味深い。

グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた

グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた
辻野 晃一郎著
新潮社発行
1575円(税込)