本社ビル売却で危機脱出、2010年3月期に黒字転換

 利益を生まない資産は企業にとっては宝の持ち腐れですが、それでも資産の存在が大きな意味を持つことがあります。

 これまでもそんなケースを見てきたこと、覚えていますか?

 そう、不二家です。(記事をご覧になられていない方はこちら

 不祥事による危機を2007年1月の本社ビルの売却によって乗り切りましたよね。その分の特別利益が損益計算書に表れていました。

 そしてなんと、2010年3月期の決算では黒字に転じているのですから、まさに本社ビルが不二家の危機を救い、本来のビジネスによって利益を生み出すところまで回復できたというわけです。

 本社ビルは、本社として利用することにより、お菓子の販売というビジネスの拠点となり、間接的にお菓子の販売による利益の獲得に貢献することになります。

 そのため、本社ビルの価値に見合った利益を生み出すことができるのかは、とても大切な視点になります。

 しかし、たとえ本社ビルの価値に見合う利益を生み出すことができなかったとしても、価値のある資産であれば、いざという時に売却して資金を作ることが可能です。

 つまり、経常的に利益を生み出す力を持っていなくても、売却価値がある資産であれば、いざという時に力を発揮するものとして意味を持つのです。

 そのため、貸借対照表の資産から企業の情報を読み取る際には、利益とのバランスも大切ですが、その売却可能性に目を向けることも大切なのです。