ドコモマーケット向けiアプリを開発するためには、従来のiアプリの開発環境を理解しているとよりスムーズに理解できるが、おさらいとして、何も環境を持たない状態からドコモマーケット向けiアプリの開発環境を構築していく。ドコモマーケット向けiアプリを開発するには、以下の基本ソフトウエアツールを用意することをお勧めする。これまでのiアプリ開発では提供されていなかったツールがいくつか提供されている。

  • Windows XP SP2
  • Java SE 6
  • eclipse v3.5.2(Galileo SR2、統合開発環境)
  • iアプリ開発ツール(DoJa/Star)
  • AppliStudio(iアプリ開発支援ツール)
  • ドコモマーケット(iモード)向けiアプリチェックツール
  • ドコモマーケット(iモード)向けライブラリ
  • ドコモマーケット(iモード)向け課金ライブラリ
  • iアプリユーティリティライブラリ
  • スクラッチパッドライブラリ

ドコモマーケット向けiアプリ開発環境を準備する

 iアプリ開発ツールは単体でも動作し、それでiアプリを開発することも可能である。だが、より開発を効率化するために、統合開発環境であるeclipseを用いる。iアプリはJavaで記述するため、ビルドにはJavaのコンパイラが必要であり、Java SEを利用する。

 AppliStudioとは、ドコモマーケット向けiアプリのリリースに合わせて用意された、eclipse上で使うiアプリ開発支援ツール。ユーザーインタフェース(UI)エディタによるグラフィカルな開発環境が、eclipseのプラグイン形式で提供されている。UIエディタ以外にもiアプリのアップロードツールなどの開発支援ツールも提供されている。

 ドコモマーケット(iモード)向けiアプリチェックツールとは、ドコモマーケット向けiアプリで制限されている実装の組み合わせを行っていたり、ADFの設定に未対応の設定が含まれていたり、そのまま配信するとエラーとなったり、といった実装上の問題を、配信前に検出するためのツールである。

 ドコモマーケット(iモード)向けライブラリは、Bluetooth操作、位置情報操作、iエリア操作を補助するライブラリである。Starプラットフォーム専用ライブラリで、Star-1.0用とStar-1.1/1.2/1.3用に分かれている。ドコモマーケット(iモード)向け課金ライブラリは、iアプリからの課金関連のライブラリである。iアプリユーティリティライブラリには、日付情報操作、位置情報操作、数値情報操作、文字列操作を補助するためのライブラリが一つになったライブラリである。スクラッチパッドライブラリは、スクラッチパッド操作を補助するためのライブラリである。プロジェクトのビルド前に直接プロジェクトに組み込んで使用する。

 今回お勧めする環境におけるeclipseやJava SDKのバージョンは、StarやDoJaのiアプリ開発ツールのドキュメントに記載のバージョンと異なる。ドコモマーケットと同時期にリリースされたiアプリ開発支援ツールAppliStudioの前提条件に合わせて準備を進める。ライブラリ群も合わせて準備していく。

ツールのダウンロードとインストール

 Windows以外の必要なツールは、インターネット経由で無償ダウンロードできる。今回は、Star-1.3の開発環境を前提に進めていく。すべてWindows XP SP2をインストールしたパソコン上で行う。

1.Java SDK

 Java SDKは、以下のURLの米Oracle(旧Sun Microsystems)の Webサイトからダウンロードする。Java SE 6のJDKを選択し、ダウンロードする。

Java SE ダウンロード:
http://java.sun.com/javase/ja/6/download.html

 ダウンロードしたプログラム(執筆時点の最新版は、Java SE Development Kit 6 update23: jdk-6u23-windows-i586.exe)を実行すると、インストールディレクトリの指定後インストールが始まる。特にインストール場所の指定がなければ、指示通りの場所にインストールして構わない。Java SE 6 Development Kitインストールに続いて、Java SE 6 実行環境もインストールされる。インストールが完了したら、WindowsのPATH環境変数にJava SEのbinディレクトリを手動で追加する。追加の方法は、以下のURLのJava SEインストール手順に詳細手順があるので参照していただきたい。

Java SE 6 インストール手順:
http://java.sun.com/javase/ja/6/webnotes/install/jdk/install-windows.html

2.eclipse

 eclipseは、以下のURLのeclipse Webサイトからダウンロードする。eclipseのバージョンは、3.5.2 SR2(Eclipse Galileo Sr2 Packages)を選択する。3.5.2 SR2は、eclipseの最新版とは異なる旧バージョンがダウンロードできるページよりダウンロードする。

Eclipse IDE for Java Developers | Eclipse Packages:
http://www.eclipse.org/downloads/packages/eclipse-ide-java-developers/galileosr2

 eclipseのWindows 32-bitのバージョンを選択し、画面の指示に従ってダウンロード用リンクをクリックする。ダウンロードしたzipファイル(eclipse-java-galileo-SR2-win32.zip)を展開。展開されたeclipseディレクトリごとどこかに手動でコピーする。ここではc:\eclipse3.5.2_dmにeclipseディレクトリを展開する。展開したファイル中のeclipse.exeを起動すると、workspaceの場所を指定するダイアログボックスが表示されるので、任意のディレクトリ名を指定してOKボタンを押す。eclipseのWelcome画面が表示されれば、ここまでの設定は完了である。

 続いてeclipseの日本語化設定をする。ここでは、Eclipse Babel Projectを使って日本語化する。eclipseを起動した状態で、メニューから[Help]-[Install New Software]を選択する。[Add…]ボタンを押して表示されたダイアログ画面で、以下のように2項目を指定して[OK]ボタンを押す。

Name: Eclipse Babel Project
Location: http://download.eclipse.org/technology/babel/update-site/R0.8.1/galileo

 Packageのリストが表示され、その中のBabel Language Packs in Japaneseを選択して[Next]ボタンを押すとライセンス確認画面が表示されるのでAgreeすると、インストールが開始される。画面の指示に従ってインストールを進め、完了後eclipseを再起動すると、日本語化されたeclipseが起動する。