自分のことを本当に知ってる?

 「自分のことは自分がいちばんよく知っている」というのは半分ホント、半分ウソです。

 「自分が今この瞬間どんなことを考えていて、どんな気持ちでいるか」についていちばんよく知っているのは自分自身でしょう。他人にはうかがい知れない当人の内面の状況というものがあります。

 一方で、「自分とは何か」と考えてみると、それはとりもなおさず他人の眼に映っている姿なのです。自分で自分の顔を見ることはできません。鏡に映したものは鏡に映ったイメージです。ビデオに映ったものは過去の映像です。自分の姿を見ているのは常に他人なのです。

 対人交渉の場面で自分が相手にどう映っているのかを知ることは、コミュニケーション力を向上させる上でこの上もないアドバンテージとなります。

ビデオに映った自分を観察する

 私自身のことを白状しましょう。10年ほど前に人前でしゃべっている自分自身のビデオ映像を見てびっくりしたことがあります。人に向かって話しかける瞬間に自分では思いもよらないほど目をむいて相手を見つめていたのです。それは見方によっては真剣な姿勢と言え、別の見方では威圧感とも取れるものでした。

 それまでも友人などから「眼の力が強い」とか「眼が怖い」などと言われることがありましたが、それが実際にどれほどのものかは自覚していなかったのです。鏡の前で自分を見るときは目をむいたりしませんからね。ビデオの映像を見て初めて「なるほど、このことか」と納得したものです。

 誰でも自分では分かっているようで分かっていない癖や特徴があるものです。