iモード・メールを送受信できるAndroidアプリ「IMoNi」は、多くのAndroidスマートフォンのユーザーに愛用されている。開発者のえがわ氏らは、IMoNiでは「他のアプリとの連携を重視する」との開発指針をとってきた。今では、デコメール、画像加工付き写メールなどを複数のアプリを組み合わせにより実現する「エコシステム」が形成されている。

 トイカメラのような効果を施した写真を撮れるカメラアプリ「FxCamera」はダウンロード数600万を突破し、世界的な大ヒットとなったAndroidアプリである。FxCameraの凄さは、160機種を超えるAndroid端末のほぼ全機種に対応している点にある。

 IMoNiにしてもFxCameraにしても、すでに「定番」の地位にあるAndroidアプリといっていいだろう。いずれも個人作品である。本業とは別に、開発者が自分の時間で作り上げたアプリが有力アプリの座に着いたのだ。

 開発者たちは、どんな思いでアプリのエコシステムを作り、膨大な機種数への対応を進めてきたのだろうか。

IMoNiの連携力:開発指針は「他のアプリとの連携を重視」

 最初のバージョンのIMoNiは、iモード・メールを閲覧する機能だけを備えていた。度重なるバージョンアップにより、写メール、絵文字、デコメール、限定的ではあるがリアルタイム通知機能(PUSH)と、機能を強化してきた。当初はえがわ氏ら2名で開発を始め、今は3名体制で開発を進めている。

写真●IMoNiのメール作成画面。写真の添付や、絵文字、デコメ絵文字の入力機能などを備える
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写真●IMoNiのフォルダ画面
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写真●IMoNiはメール受信を「通知」パネルで知らせてくれる
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写真●IMoNiの絵文字入力画面r
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 IMoNi開発のきっかけは、2009年7月にNTTドコモから日本で最初のAndroid端末「HT-03A」が発売されたことだ。HT-03AはNTTドコモの機種ではあるが、iモード・メールの送受信ができない。これでは機種変更による乗り換えがしづらい。NTTドコモは、現在はスマートフォンでiモード・メールの送受信ができる「SPモード」を提供しているが、HT-03Aの発売時点でAndroidスマートフォンに機種変更で乗り換えるということは、iモード・メールを捨てるということだったのだ。

 ただ、Androidでまったくiモード・メールを見ることができなかった訳ではない。iモード.netを、Androidのブラウザで閲覧するという手段があった。これは、iモード・メールを、ケータイやPCのWebブラウザから送受信するサービスである。

 IMoNiの開発に着手した頃を、えがわ氏はこう振り返る。「すでにAndroidに関わっていたので、HT-03Aは『持っていないといけないんじゃないか』と思いました。でも、iモード・メールが届いているかどうかを確認するのに毎回Webを見に行くというのは、あり得ない。何とかしたい、と思っていた」。

 えがわ氏は、最も初期の段階からAndroidに関心を持っていた開発者の一人だ。2007年の11月に最初に公開されたバージョンのAndroidをすでに触っていた。HT-03Aが登場する以前の段階から、「GDD Phone」(2009年6月に横浜で開催されたGoogle Developer Dayの参加者に配布されたAndroid端末)が手元にあった。これを開発機として、IMoNiの開発が始められた。