Adroid端末用のアプリケーションを手軽に開発するためのツールが相次いでいる。JavaScriptやAIRなどのWebアプリケーション用技術を利用する。従来はJavaで開発する必要があり、初心者にはハードルが高かった。

 JavaScriptやAdobe AIRといったWebアプリケーション向けの技術でAndroidアプリを開発するためのツールが、2010年後半から充実してきた。従来はJavaを使ってソースコードを記述したりXMLで画面を構成したりする必要があり、プログラミング初心者にはハードルが高かった。

 JavaScriptやAIRはいずれもWebアプリケーションでお馴染みの言語だ。Javaよりもソースコードの記述量を減らせるなど、より簡単かつ短期間にAndroidアプリを作れるというメリットがある。

 実用化で先行しているのはオープンソースのソフトウエア開発環境「Titanium Mobile」である。米Appcelerator社がバージョン1.0を2010年5月に公開した。JavaScriptを使って、Androidや米Apple社のOS「iOS」向けのアプリケーションを開発できる。同環境はLinuxやWindows、Mac OS X上で動作する。

 次いでAIRの開発元である米Adobe Systems社が2010年10月、Androidに対応したFlash/AIR開発フレームワーク「Adobe Flash Builder “Burrito”」のプレビュー版を公開した(写真1)。こちらはWindows/Mac OS X用である。

写真1 米Adobe Systemsの「Adobe Flash Builder“Burrito”」(プレビュー版)
写真1 米Adobe Systemsの「Adobe Flash Builder“Burrito”」(プレビュー版)
[画像のクリックで拡大表示]

 同時期に、米Google社が運営するアプリケーションマーケット「Android Market」に、Android端末用のAIRランタイムを正式登録した。このランタイムをユーザーがAndroid端末にインストールしておくことで、AIRで開発したAndroid用アプリが端末上で実際に動くようになる。

 なおランタイムの動作条件として、端末にはAndroid 2.2(Froyo)以降を搭載している必要がある。

RubyでAndroidアプリを開発

 JavaScriptやAIRだけではない。Webアプリの開発効率が高いことで定評のある国産のプログラミング言語「Ruby」を、Androidアプリ開発に使える可能性も出てきた。

 具体的には、ソフトウエア開発会社の日立ソリューションズが2010年10月、Rubyのプログラムを実行する仕組み「CRuby」をAndroid上に移植し、Rubyプログラムの動作を確認した。今後はCRuby版ランタイムの実用化を目指す。

 実はこの取り組みは、Java VM上でRubyプログラムを実行する「JRuby」をAndroidに移植する、オープンソースのプロジェクトがベースになっている。ただしJRubyを使う場合、現状では通常のAndroidアプリと比べてアプリの初回起動時間がかかるのが課題だった。日立ソリューションズはJRubyからCRubyへ置き換えることで処理を高速化し、アプリの起動時間も数秒程度に短縮できたという。