ネットワーク/モバイル分野で、注目キーワードの1位となったのは「Android」。昨秋から今春にかけて携帯各社から十数機種に上るAndroid搭載端末が登場するなど、動きが激しい分野だけに、読者の注目度も高い。また、2011年7月に実施される予定の「地デジ放送完全移行/アナログ放送終了」についても、やはり注目度が高かった。その一方で、今年、確実にやってくると言われる「IPv4アドレス枯渇問題」に関しては、意外にも上位にランクインしなかった。

表1●2011年に注目したいネットワーク/モバイル分野のITキーワード
表1●2011年に注目したいネットワーク/モバイル分野のITキーワード(有効回答数=3327)
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表2●2010年に注目したネットワーク/モバイル分野のITキーワード
表2●2010年に注目したネットワーク/モバイル分野のITキーワード(有効回答数=3327)
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注目度大のAndroid機はiPhone/iPadをしのぐ人気になるのか

 ネットワーク/モバイル分野で「2011年に注目したいキーワード」の1位に選ばれたのは「Android」だ。2位には「スマートフォン」もランクインした。そのわけは、言うまでもなく昨秋から今春にかけて携帯各社から十数機種に上るAndroid搭載端末が登場したことにあるだろう(関連記事:2010年秋冬のAndroidスマートフォン14機種レビュー)。現在、Androidが多くの人の注目を集めている。

 一方、“もう一つ”のスマートフォンである米Appleの「iPhone」、および同社のタブレット型端末「iPad」はどうか。2011年に注目したいキーワードとしては、それぞれ7位と8位とランクインしているものの、同時に聞いた「2010年に注目したキーワード」の1位、3位に比べると、注目度は下がり気味だ。2011年は、続々と増えるAndroid搭載機がiPhone/iPadを凌駕(りょうが)することになるのか。

 ただ、そうとも言い切れない。実は、前年に実施した「読者が選んだ2010年のキーワード(ネットワーク/モバイル)」でも、同じような傾向が出ていたからだ。当時、「2009年に注目したキーワード」でiPhoneが1位、Androidが2位だったのにもかかわらず、「2010年に注目したいキーワード」としてはAndroidの2位に対して、iPhoneは5位に沈んだ。

 ところが、2010年にiPadおよびiPhone 4が発売されると、前年以上に人気を博した。もちろんソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズのAndroid搭載機「Xperia」が売れに売れたという事実もあったが、スマートフォンのシェアでiPhoneを上回るほどではなかった。注目キーワードとしてはiPhoneを上回ったAndroidも、次期iPhoneと次期iPadを見てみないことには、その勢力図がどうなるかは分からない。

いよいよカウントダウン、地デジ移行

 「2011年に注目したいキーワード」の3位には、「地デジ放送完全移行/アナログ放送終了」が入った。今年7月24日、地上デジタル放送への完全移行が行われ、アナログ放送が終了する。当然のことながら、読者の注目度は高い。

 地デジ対応受信機の世帯普及率は既に9割を超えており(2010年11月時点)、さほど大きな混乱もなく移行は進むだろう。だが、経済的な理由で地デジ対応受信機を買えなかったり、受信障害などの理由で、地デジ放送への移行がスムーズに進まずにアナログ停波を迎える世帯が一部で発生する恐れはある。Xデーの7月24日までは、やはり気を抜けない(関連記事:地デジ完全移行で、多チャンネル放送も激動の1年に)。

 もちろん、政府や放送事業者も対策を講じている。残り半年となった1月24日には、総務省および放送事業者などが「完全デジタル化最終行動計画」を策定した(関連記事:「完全地デジ化までの半年間の取り組みは…」、放送事業者などが最終行動計画を決定)。同計画では、低所得世帯向けの簡易チューナーの無償提供対象を拡大するなどの施策を新たに決めた。

今年確実に起こる「アドレス枯渇」、なのに注目度は逆に低下

 アナログ停波のほかにも、読者にとって重要な“終わり”がもう一つ、今年確実にやってくる。それはIPアドレスの枯渇問題だ。在庫の大元であるIANA(Internet Assigned Numbers Authority)の在庫は、現在、未使用分が2ブロック(1回ないし2回の割り振り分、自動的に分配される5ブロックを除く)。この2月にも底をつくのではないかと言われている(関連記事:五つのポイントで押さえる“IPv4アドレス枯渇時代”のインターネット)。

 だが意外にも、「2011年に注目したいキーワード」では「IPアドレスの枯渇問題」は10位に沈んだ。枯渇対策として最も有望な「IPv6」も5位。これに対して、前年に実施した「読者が選んだ2010年のキーワード(ネットワーク/モバイル)」では、2年連続で「IPv6」が1位だった。「IPv4アドレス枯渇問題」も3位にランクインしている。“枯渇イヤー”を迎えたというのに、逆に注目度が下がるという結果になってしまった。人々の関心がこの程度では、やはり心許ない(関連記事:地デジ移行だけでなくアドレス枯渇もお忘れなく)。

 もっとも、IPv4アドレスの在庫が払拭したとしても、すぐにエンドユーザーがインターネットにつながらなくなるわけではない。そういった意味からも、いたずらに危機感を募らせる必要はないだろう。とはいえ、確実にIPv6時代に突入することが、これではっきりしたと言える。企業システムの担当者は、対策を真剣に考える必要がある。

 なお、ITproでは「IPアドレス枯渇カウントダウン」という特番サイトを開設しており、引き続き、IPv4アドレス枯渇やIPv6移行関連の情報を発信していく。