プラットフォーム分野では、注目キーワードの上位に“次期クライアント”の候補となる製品・技術がずらりと並んだ。1位は「Chrome OS」。今年、いよいよChrome OSを搭載するネットブックがメーカー各社から登場する予定だ。僅差の2位は、大規模導入事例が相次いでいる「デスクトップ仮想化」。仮想化の波がサーバーからクライアントへと押し寄せ、次期クライアントの選択肢の一つとして高い関心を集めているようだ。

表1●2011年に注目したいプラットフォーム分野のITキーワード
表1●2011年に注目したいプラットフォーム分野のITキーワード(有効回答数=3327)
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表2●2010年に注目したプラットフォーム分野のITキーワード
表2●2010年に注目したプラットフォーム分野のITキーワード(有効回答数=3327)
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タブレット vs. ネットブック、モバイル端末はどちらが欲しい?

 「Chrome OS」「デスクトップ仮想化」「Windows 7」「タブレットPC」「シンクライアント」――。2011年に注目したいプラットフォーム分野におけるITキーワードのベスト10をながめると、半分は“次期クライアント”の候補とみられる製品・技術が占めた。いまだWindows XPパソコンを使い続けている企業がそろそろ本気で買い換えを検討しているのか、あるいは個人でパソコンやモバイル端末の買い替えを考えているのか、とにかくクライアントに熱い眼差しが向けられている。

 Chrome OSの開発は当初の予定(2010年後半リリース)より遅れているものの、Chrome OS搭載パソコンが2011年上半期に登場予定だ。昨年12月には米GoogleがChrome OS搭載ネットブックの試作機を発表し、期待通りの仕上がりとなっていた。「約10秒で起動」「起動するとすぐにWebへ接続」など、軽快な使い勝手を実現している(関連記事:ノートPCも10秒起動へ)。

 2010年は、直感的なタッチ操作に優れる「iPad」や「GALAXY Tab」といったタブレット端末が大人気となった。営業や接客用の端末として導入する企業も相次ぎ、クライアント分野の流れはタブレット端末に大きく傾いていた(関連記事:iPadに企業も熱視線---みずほ銀、ガリバーなど店舗導入が続々)。この影響で、ネットブックを中心に世界でパソコンの出荷が伸び悩んだほどだ(関連記事:2010年Q4の世界PC市場、タブレット人気で消費者需要が軟化)。2011年の注目キーワードランキングでも「タブレットPC」が5位に入り、その勢いは今年も続くだろう。

 ただし、タブレット端末にも弱みはある。データ入力だ。タブレット端末でメールを読むことができても、その返信として長い文章を入力するのは楽でない。Chrome OSが今年の注目キーワードで1位となったのは、「やはりキーボード付きがいい。それに加えて軽快に動く端末が欲しい」というニーズが大きいのかもしれない。

仮想化の次のターゲットは「デスクトップ」!?

 2011年の注目キーワードには、「デスクトップ仮想化」「サーバー仮想化」「VMware」「サーバー統合」などの仮想化製品・技術がランクインした。2011年も引き続き仮想化技術への関心が高いことを示している。特にデスクトップ仮想化は昨年よりも多くの注目を集め、ランキング第2位となった。前述したように、デスクトップ仮想化は“次期クライアント”の候補としても注目されている。

 最近、仮想化の対象はサーバーだけにとどまらず、ストレージ、ネットワークを含めたリソース全体に広がっている。デスクトップ仮想化(仮想化方式のシンクライアント)も、クライアント側にあるリソースを仮想化してサーバー側に移し、運用管理とコストの両面で効率化しようとするものだ。

 デスクトップ仮想化には、単にシンクライアントシステムを仮想化したということ以上に、企業全体のリソース効率を高められる可能性がある。例えば、昼間は仮想デスクトップの運用に使っているリソースを、夜間は業務アプリケーションのバッチ処理に回す、といった使い方ができる(関連記事:ニッセイ情報テクノロジー、集約率高い仮想クライアントシステムを構築)。