アクセンチュア 程近智 代表取締役社長

 2010年は引き続き厳しい年となった。だが予想通り、「グローバリゼーションに向けた変革が経営の最重要課題」になった企業が増え、その支援をしてほしいという依頼に数多く応えることができた。引き続きグローバルネットワークを拡充し、海外駐在の日本人社員も増やす。

 グローバルに目を向けた日本企業の多くが、製品力、技術力、サービス品質、財務といった元々の強みを生かして、海外での収益を拡大することに成功し、成長軌道を築いている。しかしただ海外に出るだけで回復・成長のシナリオを描けるわけではなく、為替レートやカントリーリスク、複雑な市場構造、新興国企業との競争など、海外展開にはあらゆるリスクが潜んでいる。

 2011年のキーワードは「波乱」と「勢い」。企業の業績を左右するような不測の事態に備えつつ、成長に勢いをつけるには、アクセルとブレーキを同時に踏んで二兎を追うような高度で繊細な操縦技術が求められる。このために経営者は、自社の分析力・予見力を強化し、ITインフラを整えなければならない。クラウドやBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシングサービス)を活用し、保有する物理的資産を減らし、知の資産をより増やす。「アセットライト」「IP(知的財産)ヘビー」な体質に変えていく必要がある。成果報酬型のマネジメントサービス、BPO、ハイブリッドクラウド、スマートシティによる社会インフラの情報化、予測型アナリティクス、IFRS、スマート端末活用。これらの領域で今年も顧客を支援する。