野村総合研究所 嶋本正 代表取締役社長

 2010年、「クラウド」は単なる一過性のブームに終わらず、システム構築基盤技術の有望な選択肢になった。ITは「所有から利用へ」の流れが鮮明となり、潮目が変わったことを強く認識させられた。2011年の注目技術は、「クラウド」「次世代データベース」「ITモダナイゼーション」だ。クラウドに関しては、顧客の導入検討が本格化することが予想され、クラウド関連技術には積極的に投資していく。昨年は、顧客企業のIT投資抑制の影響による売り上げの伸び悩みに加え、いくつかの不採算プロジェクトの影響があった。このため、業績面では課題の残る1年で、自己採点としては65点である。

 2008年に策定した「ビジョン2015」のなかで、業界横断・市場横断的な「新世代ビジネスプラットフォーム」の拡大を掲げ、「ITの所有から利用(サービス化)」への流れをリードしてきた。今年は、当社が提供する最大の業界共通ビジネスプラットフォーム「STAR-!)(証券バックオフィスシステム)」の導入プロジェクトが野村証券で始まる見込みだ。このほか、資産運用、銀行、保険業界などをターゲットにした、業界共通ビジネスプラットフォームに力を入れる。

 所有・利用に関わらず、今後もITが顧客のビジネスにとって重要な役割を果たすことに疑いの余地はない。強みであるコンサルティングからシステム開発・運用までの一貫サービスをより強化し、顧客の経営課題を解決し、顧客創造にも積極的に取り組んでいきたい。