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 東京放送ホールディングス(TBS HD)は、インターネットラジオ「OTTAVA」のiPad向け聴取アプリケーション「OTTAVA 4 BIZ by TBS」で、企業のIR情報(投資家向け情報)の提供を2011年1月中旬から開始する。アプリ画面下の2/3の領域をIR情報の掲載枠として、情報掲載を希望する企業に月額5万円で提供する。2011年3月までは試用期間として無料で情報を掲載し、4月以降本格的にサービス展開する。既に本田技研工業とTBS HDのIR情報掲載が決まっており、本サービス開始から1年で50社の情報提供と、20万人の利用者獲得を目指す。

 クラシック音楽専門のインターネットラジオであるOTTAVAは、ほかのサービスと比較すると利用者に高所得者が多く、長時間番組を聴取する傾向があるという。こうした聴取層を「リテラシーが高く、精神面/物質面で充足している潜在的な投資家」として企業側にアピールし、ビジネス化を狙う。このセグメントにこれまでとは違う形でIR情報を提供したいと考える企業から、広告予算とは別枠のIR予算から収益を得るビジネスモデルの確立を目指す。

 2011年1月中旬より提供を予定しているiPad向けアプリ「OTTAVA 4 BIZ by TBS」では、放送中の曲名やパーソナリティの写真などの番組情報と、TBSテレビのニュースサイト「News i」の最新ニュースを画面上部に表示し、画面の下部2/3にIR情報を掲載した企業のアイコンを一覧表示する。複数の企業アイコンの中から見たいものを押すと、選んだ企業のIR情報を全画面で電子雑誌風に表示する。IR情報として文字や写真以外に動画素材を組み合わせたり、インタラクティブなナビゲーションを提供したりできる。また、このアプリ向けに作ったデータのほかに、企業のIRサイトから決算短信などのPDFファイルを直接取り込んで、アプリ内で表示させることもできる。

 OTTAVAは現在、パソコンのほかにiPhoneとiPadから聴取可能で、パソコン向けが約77万人、iPhoneとiPad向けが約2万5000人、合わせて80万人弱の利用者があるという。この基盤を生かして、iPhone/iPad向けアプリの利用者を「早期に20万~30万人規模に拡大し、媒体としての価値を確立したい」(TBS HD 経営戦略部 次長の小島英人氏)という。現在ユーザーが利用中のiPad向けOTTAVAアプリは、1月中旬に予定している自動アップデートにより「OTTAVA 4 BIZ by TBS」に切り替わる。iPad向けアプリケーションの開発はフライトシステムコンサルティングが担当し、IR情報掲載枠の利用に関する企業側の窓口は、今回提携したオグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパンが担当する。TBS HDでは今後、Android端末向けOTTAVA聴取アプリの提供や、アプリのさらなる機能強化を検討しており、利用者数の拡大を図る考えだ。